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アシスト編
みし 会
1三島由紀夫「金閣寺」
- 金閣の美と人間の生を対比して独自の哲学を構築する青年を拍した小詰
確認問題|
★ 次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
傍線部a~dの本文中での意味として最
(語り手は地方の寺の住職の息子で、父の意向により中学を中退し、金閣寺の 徒弟となる。
金閣の美を崇拝するあまり、金閣を焼くべきかどうかという問題に到達する。]
……私はこの窓辺で、又さきほどの想念を追いはじめた。なぜ私が金閣を焼こうという考え
適なものをそれぞれ次から選べ。
徒弟
ト
養子
H
小僧
より先に、老師を殺そうという考えに達しなかったのかと自ら問うた。
2 それまでにも老師を殺そうという考えは全く浮ばぬではなかったが、忽ちその無効が知れた。
(出一)
b
ト
まさか
* すぐに
何故なら よし老師を殺しても、あの坊主頭とあの無力の悪とは、次々と数かぎりなく、闇の
ェ たぶん
かりに
地平から現われて来るのがわかっていたからである。[ © ]
伝播
3おしなべて生あるものは、金閣のように厳密な一回性を持っていなかった。[ @ ]人間
ト
波動が広がっていくこと
ト
教義を広めて信仰を促すこと
思想を伝えて広めていくこと
は自然のもろもろの属性の一部を受けもち、かけがえのきく方法でそれを伝播し、 ハン殖す
るにすぎなかった。殺人が対象の一回性を滅ぼすためならば、殺人とは永遠の誤算である。私
工 悪事の報いとして罰せられること
はそう考えた。そのようにして金閣と人間存在とはますます明確な対比を示し、一方では人間
ペ
の滅びやすい姿から、却って永生の幻がうかび、金閣の不壊の美しさから、却って滅びの可能
アアわかりきっていること
(型へ)
性が漂ってきた。人間のようにモータルなものはコン絶することができないのだ。そして金
自然に移り変わること
閣のように不滅なものは消滅させることができるのだ。[ @ ]私の独ソウ性は疑うべくも
ウ未来に向けて明るいこと
なかった。明治三十年代に国宝に指定された金閣を私が焼けば、それは純粋な破壊、とりかえ
工 自分だけが知っていること
しのつかない破滅であり、人間の作った美の総量の目方を確実に減らすことになるのである。
の
考え進むうちに蓄 的な気分さえ私を襲った。「金閣を焼けば」と独言した。「その教育的 5
二重傍線部「永遠」の類義語を、同じ段
落から三つ抜き出せ。
効果はいちじるしいものがあるだろう。そのおかげで人は、類 スイによる不滅が何の意味も
もたないことを学ぶからだ。ただ単に持続してきた、五百五十年のあいだ鏡湖池畔に立ちつづ
永生 不ル1不程
けてきた ということが、何の保証にもならねことを学ぶからだ。われわれの生存がその上に乗っ
かっている自明の前提が、明日にも崩れるという不安を学ぶからだ』
O m
補充問題
5 そうだ。たしかにわれわれの生存は、一定のあいだ持続した時間の凝固物に囲まれて保たれ
ていた。たとえば、ただ家事の便に指物師が作った小袖斗も、時を経るにつれ時間がその物の
波線部1 「類スイによる不滅」とはどう
いうことか。最適なものを次から選べ。
S4 条
形態を凌駕して、数十年数百年のちには、逆に時間が凝固してその形態をとったかのように
なるのである。一定の小さな空間が、はじめは物体によって占められていたのが、凝結した時
ア 人間が金閣を愛する気持ちが強ければ
失われても再建されると考えること。
間によって占められるようになる。それは或る種の霊への化身だ。〔 © ]中世のお伽草子
金閣は現実に失われてもその美によっ
と和n
0vp
てずっと心に刻まれると考えること。
の一つ「付喪神記」のボウ頭にはこう書いてある。
(州m)
6「陰陽雑記云、器物百年を経て、化して精霊得てより、人の心を 証 す、これを付喪神と号す
ゥ 人間はいつか命が尽きるが金閣は国宝一
たぶらか
として輝きを保ちつづけると考えること。
といへり。是によりて世俗、毎年立春にさきたちて、人家のふる具足を、払いだして、路次に
C 金閣は五百五十年存在しつづけたので」
すつる事侍り、これを媒払といふ。これ 則、百年に一年たらぬ付喪神の災難にあはじとなり」
Z 私の行為はかくて付喪神のわざわいに人々の目をひらき、このわざわいから彼らを救うこと一
未来にも当然存在しつづけると考えるこ
N~
J°
になろう。私はこの行為によって、金閣の存在する世界を、金閣の存在しない世界へ押しめぐ
整品2「AS行」