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【9】次の文章を読んで、下記の問いに答えなさい。
市民革命期に宣言された基本的人権の内容は、国家による不当な支配からの自由をめざす自由権が中心で
あった。自由権を社会の基本におく考え方は、『国富論(諸国民の富)』を記したアダム·スミスらの経済
思想につながり、自由放任の原則のもとに、国家の役割を治安の維技持など最小限の機能に限定する[ 2 ]
を生んだ。20世紀に入ると、社会的·経済的弱者を救済するために、国家に積遺極的な施策を求める社会権を
国民に保障することが求められるようになった。日本国憲法でも、1919年のワイマール憲法で登場した社会
権の考え方をとり入れ、生存権、労働基本権、 教育を受ける権利を保障している。
日本国憲法第25条1項は、生存権を国民に保障し、その2項では、「国は、すべての生活部面について、
社会福祉、社会保障及び[3 ] の向上及び増進に努めなければならない」と規定している。これらの規
定に基づき、社会保障制度に関する各種法律が制定·施行されている。
また、日本国憲法第26条1項は、子どもを含む国民の教育を受ける権利を保障し、その2項で、この権利
を保障するために義務教育の無償を定めると共に、国民に対し、「子女に[ 4 ]を受けさせる義務」を
課している。
さらに、労働者の生存権を保障するために、日本国憲法第27条および第28条は、勤労の権利(勤労権)を
はじめ、勤労者の労働三権を保障しており、この規定に基づいて労働三法が定められている。このうち、労
働基準法は、第1条で「労働条件は、労働者が [ 5 ]を営むための必要を充たすべきものでなければな
らない」と規定している。近年では、過労死·過労自殺の深刻化や、正社員と非正社員との待遇格差などの
問題を受けて、働き方改革関連法が2018年に制定されている。
【10】 次の文章を読んで、下記の問いに答えなさい。
日本国憲法は、自由権や社会権など様々な権利を保障しているが、社会生活の発展にともない、従来の条
文では十分に対応できない、いわゆる新しい人権が、憲法第 [A]条を根拠に主張されるようになって
きた。
新しい人権としては、プライバシーの権利がある。プライバシーの権利は、当初、いわゆる_(d)モデル
小説と個人の私生活との関係が問題となり、「私弘生活をみだりに公開されない権利」として捉えられていた。
しかし近年では、情報化社会の進展にともない、個人情報が本人の知らないうちに政府や企業によって大量
に集められ、濫用される危険性が出てきたため、個人情報が勝手に収集 利用されないよう、「自己に関す
る情報をコントロールする権利」として積極的に捉えられるようになってきている。このような流れの中、
[ D]年には個人情報保護関連5法が制定され、行政機関や民間企業に対し、個人情報の利用目的の制
限や適正な取得 管理が求められるようになった。
一方、2002年に住民票に番号をつける住民基本台帳ネットワークが導入され、さらに2016年からは、Le)
国民一人ひとりに[E ]ケタの個人番号が割り当てられ、税や社会保障などに関する個人情報を管理す
る制度が導入されたが、これらの制度に対しては、個人情報が一つの番号のもとに集められ、ネットワーク
で結ばれることから、プライバシー侵害の危険性が大きいとの指摘がなされている。また、インターネット
の発達によって、一般の人々が容易に情報の送り手となることができる現代においては、本人の承諾なしに、
顔や姿を撮影されたり、公表されたりしない権利や、(g)いつまでもインターネット上に残っている個人
情報の削除を求めることができる権利などについても理解を深める必要が生じている
情報化社会の進展にともない、プライバシーの権利と同様、重要になってくるのが、知る権利である。国
民生活に関わる大量の情報が行政機関によって一方的に収集·管理される今日、国民にとって必要な情報を、
国民が正しく知らなければ、社会の不正を防ぐことはできない。そのため、1999年に [F ]が制定され、
行政文書の原則開示が義務づけられた。一方、2013年に特定秘密保護法が制定され、(h)4つの分野にお
いて、特に秘密にする必要があると指定された「特定秘密」の漏えい等に対して最高10年間の懲役を科した
り、指定期間を最長60年間まで延長したりできるようになったため、国民の知る権利が広範囲に侵害される
恐れがあるとの指摘がなされている。
その他、自らの生活や生命のあり方について、自ら決定することができるとする自己決定権も、 新しい人
権の一つとして挙げられる。