第 191問 油脂の構造決定
油脂は,3分子の脂肪酸と3価アルコールのグリセリン1分子がエステル結合した化合
物である。天然物から抽出し, 精製したある油脂Aの構造を明らかにするため、以下の
C
実験を行った。
(実験 1) 油脂 A 44.1gを完全に水酸化ナトリウムで加水分解すると, 4.60gのグリセリ
ンとともに,直鎖不飽和脂肪酸Bと直鎖飽和脂肪酸Cのそれぞれのナトリウム
塩が得られた。
(実験2) 油脂 A 3.00g に, 白金触媒存在下で気体水素を反応させると、標準状態で
A305mL の水素が消費され, 油脂 D が得られた。 油脂 A は不斉炭素原子を含んで
いたが,油脂 D は不斉炭素原子を含んでいなかった。
(実験3) 二重結合を含む化合物 R-CH=CH-R' をオゾン分解すると, 式 (1) のように
二重結合が開裂し2種類のアルデヒド (R-CHO, R-CHO) が生成する。
オゾン分解 R、
R、
H
R'
C=C
H
XJ XD!" ()
C=O + O=C
R'
... (1)
HI
脂肪酸Bをメタノールと反応させてエステル化した後に、オゾン分解すると,
H
次の3種類のアルデヒドが1:1:1の物質量の比で得られた。