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2 [2024 浜松医科大] C=Cの場所をみつける。
生徒:先生,今日の実験室は,なんとなく柑橘系のいい香りがしますね。
先生:よく気づいたね。それはね、君が来る前に私が実験で使っていた化合物 A の香り
なんだよ。いい香りといえば,エステルを思い出すかもしれないが,化合物 A は
天然に存在する炭化水素化合物でね、さらに言うと,化合物 Aはシクロヘキセン
構造をもつモノテルペンという化合物群のひとつで、炭素原子を10個持っている
んだ。その化合物 A を低温でオゾンと反応させた後,亜鉛を反応させて化合物 B
を合成したのだよ。そして、過マンガン酸カリウムを使って化合物 B を酸化して,
この化合物Cが得られたんだ。
先生は,化合物の構造式を実験ノートに書いた一
0
HCHO
C-OH
A03
CH2
+Zn=
CH3-C-CH-CH2-CH2-C-CH3
O
0
Bさんか→C
化合物 C
生徒: 化合物 Cが,この構造であるということは, 1分子の化合物 Aに対して, 2分子
のオゾンが反応したことになりますか?
先生:そのとおり, よくわかったね。
生徒:この柑橘系の香りがする化合物 A の構造はわかりました!
ところで先生、これから私は何の実験をしますか?
先生: 君には,分子式がC10H140である芳香族化合物の還元をやってもらおう。 還元
反応には白金触媒と水素を使い, 反応後に反応溶液から触媒などの不溶成分をろ
過で取り除いてもらう。 もしかしたら, ろ液中に未反応の化合物 D が残っている
かもしれないので, ジエチルエーテルと水酸化ナトリウム水溶液を使って 分液
漏斗で抽出操作もやってもらう。 そうすれば, 未反応の化合物 Dは水層に,生成
物の化合物Eはジエチルエーテル層にわけられるはずだ。
一生徒が実験を行い, 先生とのディスカッションが始まった一
生徒: 化合物Eの元素分析の結果を解析すると, 分子式がC10 H200 であることがわかり
ました。
先生: 実験はうまくいったようだね。 さて,化合物 E の構造について, 君が先ほど理解
した化合物 Aと比較してみよう。
先生は化合物の構造式を実験ノートに書いた一
生徒: もし、化合物 Dと同じように化合物 A を還元して, その生成物を化合物Fとした
場合,化合物Eと化合物 Fは同じ環状構造を持ち, その環状構造に結合している
炭化水素基の数, 種類, 位置関係も同じになりますよ。