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圈 73. 遺伝子組換え 次の実験について, 以下の問いに答えよ。
【実験】 ヒトの DNA
に) 特定の塩基配列
を認識して切断する
酵素A を作用させ
て遺伝子 X を含む
DNA 断片を切り出し
た。また,同じ酵素
でプラスミドに切れ
目を入れた。両者を
表1 実験で用いた寒天培地と観察結果(+ あり なし )
混合し,(1) 切断点をつなぐ酵素Bをはたらかせた。この混合液を大腸菌に取りこませ
た後,その溶液を寒天培地 ((a), (b), (c)) で培養すると,表1のようになった。
寒天培地
添加物
amp
IPTG
X-Gal
観察された
コロニー
(a)
+
白色
のみ
(b)
+
白色
のみ
lacZ
(c)
+
+
+
P
ここで使用したプラスミドはamp と lacZという遺 図1
伝子をもつ(図1)。 amp" は抗生物質アンピシリン(amp)
を分解する酵素の遺伝子で,常に転写されており,こ O
れがはたらくとアンピシリン耐性になる。 lacZ はβ
ガラクトシダーゼという酵素の遺伝子で,この酵素は
X-Gal という基質を分解し青色の色素を生成して大腸菌
コロニーを青くする。 またこのプラスミドのlacZの遺
伝子発現は IPTG (イソプロピル-β-チオガラクトピラ
ノシド)という物質により誘導される(表1)。 酵素Aにより切断されるプラスミドの位
置は図に示すように lacZ内部にあるため,ここにDNA 断片が挿入されるとlacZが分
断され,正常な β ガラクトシダーゼを合成できなくなる。 なお,今回使用した大腸菌
は自身のlacZ 遺伝子はもたないものとする。
(1) 下線部(ア)のような酵素を一般的に何というか、その名称を答えよ。
(2) 下線部(イ)のような酵素を一般的に何というか、その名称を答えよ。
0: オペレーター
▼:酵素A切断部位
転写方向
白色と
青色
ampr
プラスミド
P:プロモーター
(3) プラスミドのように外来性の遺伝子を運搬するはたらきをもち、導入された細胞の
中で増殖することのできるDNAを一般に何というか。 その名称を答えよ。
( (4) 表1で示す,寒天培地(a)で見られる白いコロニーと寒天培地(c)で見られる白色と青
色のコロニーはそれぞれどのような大腸菌由来のコロニーであると考えられるか。
最も適切なものを(ア)~ (オ)の中からそれぞれ1つ選び,記号で答えよ。
(ア)プラスミドを受け取った大腸菌
(イ)プラスミドを受け取っていない大腸菌
(ウ) 遺伝子Xのみを受け取った大腸菌
(エ) 遺伝子Xが挿入されたプラスミドを受け取った大腸菌
(オ) 何も挿入されていないプラスミドをもった大腸菌
[13 長崎大改〕
登現 81