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次の文章を読んで以下の設問に答えよ。
近年,遺伝子工学の進歩が目覚ましい。 1970
年代に, DNA の特定の塩基配列を認識して切断
する(ア)や mRNA に対して相補的な DNA を
作成する(イ), DNA の切れ目をつなぐ酵素
(ウ )が相次いで発見され,その応用の1つとし
てすい臓(エ)内の(オ )細胞で分泌されるインスリンが大腸菌を用いて合成された。
大腸菌を利用したインスリン合成には様々な遺伝子工学が関わっている。その1つに遺伝子発現の調節機
構がある。遺伝子の中には特定の環境条件の時にだけ発現するものがあり, この調節は( カ )の段階で行わ
れていることが多い。(a1961年ジャコブとモノーがこの調節機構を大腸菌のラクトース分解において証明し
た。通常,大腸菌はグルコースを利用して生育するが, グルコースがない場合ラクトースも利用する。 大腸
プロモ
(ク)
ーター(ケ). ラクトース分解酵素遺伝子群
DNA
図1 ラクトース分解酵素遺伝子群の DNA 配置図
(上記の遺伝子群はラクトース分解酵素を含む
3種のタンパク質をコードする。)
菌はラクトースをラクトース分解酵素で分解し,生成されたグルコースを生育に利用する。図1のごとく, ラ
クトース分解酵素遺伝子群の上流に隣接し、(カ )の開始を指示する(キ)が結合するスイッチ領域である
プロモーターと(カ )の調節を行う(ク )領域, (ク )により合成されたタンパク質が結合する(ケ )が存
在する。これらはまとめてオペロン説として提唱された。グルコースがなくラクトースが存在する時, ラクト
ースの代謝産物は(ク )により合成されたタンパク質と結合すると、 (ケ )から離れ、( カ )が( コ )される。
ラクトース擬似物質として IPTGや (Xgal が開発された。IPTG はラクトース分解酵素により分解され
ず,Xgal はラクトース分解酵素により分解されて青色を発色する特徴(分解されないと白色である)がある。
大腸菌内のラクトース分解酵素遺伝子群の後にインスリン遺伝子を挿入し, IPTG を入れると, 原理的には
大腸菌内でインスリンが大量に産生されることになる。 現在, この方法の応用が様々なタンパク質の合成を
可能としている。
問1.文中の(ア )~ ( コ )に適切な語句を記入せよ。
問2.文中の下線部(a)の実験で
突然変異を持つ大腸菌をそれぞれプロモーターの変異大腸菌A, ( ク )の変異大腸菌B, (ケ )の変異大
腸菌Cとし,表1のような培地の条件で培養したところ,大腸菌の生育とラクトース分解酵素の産生に表
1の結果がみられた。 以下の問いに答えよ。
(1) 条件1ではなぜラクトース分解酵素が産生されなかったか, ( ク ), ( ケ )の記号を用いて説明せよ。
(20字以内)
(2) 条件2の(サ ) ( シ )に入る記号を記入せよ。
(3) 条件3での大腸菌の生育曲線を下右図に図示せよ。
(4)条件4,5の変異株 ( ス )に入る可能性のある変異大腸菌はどれか, 変異大腸菌A. B, Cで答えよ。
解答は1個とは限らない。
野生株と共にプロモーター, ( ク ), ( ケ )のいずれかの領域の1か所に
表1 大腸菌の種類, 培養条件とその結果
培地の条件
条件大腸菌の種類
大腸菌の生育ラクトース分解酵素産生
グルコース|ラクトース
野生株
(サ)
(シ)
時間が経過してから+
培養時間
変異株(ス)
防衛医大
大腸菌の菌体教数
1|2|3|4|5