評論(1)
10
(2) O
38
爆(1)
美意識は資源である
原研哉
成田空港に降り立ち、そっけない空間を入国審査所に向かって歩き始めるとき、決まっ
1成田空港 千葉県成田
て感じることがある。空間はおもしろみがなく無機質だが、なんとすばらしく掃除の行き
市にある成田国際空港。
一九七八年開港。
R·ト
届いた場所だろうかと。床のタイルはどこもピカピカで、床の上で転がり回ってもさして
服は汚れないのではないかと思うほど。カーペットを敷き詰めた床も清潔だ。仮にしみが
あっても、それを除去しようと最善の努力を払った痕跡がある。恐らく掃除をする人は、
仕事の終了時間が来ても、モップや掃除機をさっさと片づけたりしないで、切りのいいと
め細かい
ころまで仕事をやりおおせて帰るに違いない。この丁寧さが、他国から帰ってくると切実
危介行き届いて
トママ
に感じられる。空港を出て車で高速道路を走り始めてもこの感覚は持続する。田園風景を
切り裂いて進む景観に高揚感はないが《路面は鏡のように滑らかで、車のエンジン音もき
わめて静かだ道路に沿って点灯する街路灯も、どれ一つとして消えていたりはしない。
Laての感慨はやがて都心部の夜景に吸い込まれていく。東京に近づくにつれ、夜景の微密
回「その感館」とは、U
S6nがん とか。
さに感覚が引
継まって くるよりだ。
1つ一つ どの明か りも、し っ かりと 確かに点ミーして
おり、切れたり明滅したりはしていない。確実に揺るぎなくともつっている。そんな明かり
こ)
が集合して高層ビルとなり、果てしない奥行きの中に連なっておびただしい光の堆積をな
か。
今の東京の夜景は、世界でいちばん美しいかもしれない。そういう感想を漏らすと、異
か、香港のビクトリア
m
ホンコン
2ムンバイインド西
で