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『こんなに面白かった
文化 「ニッポンの伝統芸能」』
日 実際の歌舞伎役者の動きはきわめてハードだ。たとえば立った状態から、いきなり床にドンと」
で座るシーンがある。今の坂東三津五郎さんは、これをマスターする際、コキュウをきちんとトトノえない
と大怪我をすると言われたそうだ
B
A.
ばRAn ごろう
E進にいえば、歌舞伎の舞台に立つ役者は、伝統的な身体の芸を伝承されている存在であり、日々努力をし
ている人であるということだ。観客がそれを楽しみにすれば、伝承·努力は今後も続く。そういう身体芸術
なのだ
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園そしてもう一つ、あの派手さも特筆すべきだろう。日本文化というと、だいたい地味で渋いと相場が決ま
っている。ところが歌舞伎だけは、異様なまでに派手で華やかだ。特にあの化粧は、世界的に見ても屈指だ
ろう。かつて七○年代にアメリカのロックバンド·KISSが一世を風麗したとき、あの派手なフェイスペ
イントを見て、日本人の多くは「あ、歌舞伎っぽい」と思ったはずだ。ある種の優越感を覚えた人もいたので
はないだろうか
ふn び
はを
アメリカで二0世紀後半に流行ったことを、日本では中世のバサラの時代から行ってきた。バサラにとっ
て、妙に派手な格好をして町を歩くのは基本中の基本だ。彼らは、世間一般から見れば頭を傾げたくなると
いう意味で「かぶき者」と呼ばれた。その伝統の中から江戸時代に生まれたのが歌舞伎だ
回今日では、野田秀樹さんが演出したり、中村勘三郎さんがアメリカに持ち込んだりと、さまざまな現代風」
のアレンジが施されている。だが、どんな味つけをされても、歌舞伎そのもののスタイルが崩れることはな
い。身体の「型」や伝統的な舞台装置に基本を置いている以上、歌舞伎は歌舞伎なのだ。そこには、日本人が
忘れかけた身体性や品格、行儀のよさが残されている。私たちはこの伝統芸能に接することで、あらためて
日本文化のすばらしさ、奥深さを知ることになるだろう。
回 しかもそれは、どこまでも派手で明るい。おそらく世界中の人々が驚嘆するであろう派手さを、世界の中
では地味に思われがちな日本人がつくり出したという事実を、私たちはもっと誇ってもいいはずだ。真面目
おとなしい日本人が、本当はどれだけのパワーを持ち、どれだけいかがわしいことか。もともと歌舞伎に
かし
リRリ
S だひで き
なかむらかんざぶろう
の.
大な イキョ クを与えた垂