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A O
部I
おむら要さん(婆さん)は、息子夫婦と一緒に暮らしているが、毎年正月になると、息子の嫁に追い出されるように
「里帰り」を勧められ、自分の実家に帰る習慣になっている。ところが、その実家にも自分の居場所がなく、数年前から
は、幼馴染みの自息子の岩蔵の家に泊めてもらうようになった
*背戸 家の裏口。
*挟 そば。かたわら。近く。
*おいたあ 驚きを表現する言葉。
駐在巡査 受け持ち地域の警備にあ
たる警察官。家族と共に「駐在所」
に住んでいる。
件 息子。
Nへ
口数年前、岩蔵と再会したときは、雪のない暖かな正月で、元日の午後、おむら婆さんは所在ないままに実
家の背戸から外へ出て、オダやかな陽を浴びている村道をすこし歩いてみた。小川のほとりまでくると、む
こう岸から自転車を刺ませながら土橋を渡ってくる男がいて、快のドロヤナギの木の下に作んでいると、自一
転車の男は前を通り過ぎてから、
「おいたあ、おむら婆っちゃじゃねすか。」
文中の語句を入れよう
段落要約
Zそれが駐在巡査の岩蔵で、かつてシンコンの息子夫婦を墓参りに連れて帰ったころは明るい笑い声が広い
稲田によく響く関達な青年だったが、いまは目の下に弛みが出来て、鼻の下に蓄えたチョビ髭にも白いもの
が混じっていた。
日·回·国 数年前の正月一
数年前の正月に駐在巡査の岩蔵と
再会した婆さんは、その年以来、
実家の次に0 M 所を訪ねて
Sロさせて貰うようになった。
と驚きの声を上げてプレーキの音をあたりに響かせた。
ゅつ
Mその年以来、実家の次には駐在所を訪ねて、岩蔵の母親をはじめ、いまは亡い幼馴染みたちの思い出語に
ふけって夜ふかしをしては、ついでに一泊させて貰うようになった。
口 今年の正月0
今年の正月に訪ねてみると、岩蔵
宅では前の年の秋口に一人息子が
嫁を貰い回四:
ていた
国今年の正月に訪ねてみると、岩蔵宅では家族が一人増えて四人家族になっていた。前の年の秋口に一人息一
子が嫁を貰ったのである。嫁は保育園の保母さんだそうで、正月早々の長っ尻な客にも厭な顔一つ見せない
ばかりか、いまは誰も憶えていないような村の古い童歌をいくつも歌って婆さんを涙ぐませた。
Gその晩、婆さんは頃合いを見計らって、もう正月気分を充分マンツできたから、これで実家へ帰ること じ
にするといった。岩蔵宅には夜具が四組しかないのを知っていたからだが、そんな婆さんの配慮は忽ち岩蔵」
.回今年の正月@
婆さんは、岩蔵宅には夜具が
しかないことを配慮し
の女房に見破られた。
て実家に帰ると言った。しかし
「なに、伴と嫁は一つ布団に寝かせます。若夫婦にはかえってその方がありがたがすべ。なんも遠慮は要り
岩蔵の女房に回を原せず泊ま
国岩蔵の女房がせっかくそういってくれるので、婆さんは、これまでとは違って掛布団の襟に寝化粧の匂い0
っていくようにと言われ、掛布団」
がうっすら染みついている夜具に寝かせて貰った。
うっすら染みついている夜具に寝
間- 須学傍線部a~dのカタカナは漢字に、漢字はひ
ィ 性能がよくて新品の自転車を、週爽と気持ちよく」
かせて貰った。
一)
らがなに直せ。
一)
文法
走らせている様子。
ウ 使い古された自転車を、そのことに頓着なく走ら
せている様子。
ェ安くて性能の悪い自転車にもかかわらず、軽快に一
走らせている様子。
DA
波線部「ては」と同じ意味用法
のものを、次からすべて選べ。
ロ
0
<元答5点)
ア 遅刻してはいけない。
ィ 作文を書いては消す
ウ 雨が降っては困る。
工 雨が降ってはやむ。
ォ 寄せては返す波。
間二司 破線部。· ●の文中での意味として適当なも
のを、次からそれぞれ選べ。
所在ない
ァ することがなく退屈である
ィ 自分の居場所がわからない
ウ 落ち着かず居心地がよくない
ェ どこに行けばいいかわからない
長っ尻な一
ア 景気が悪く貧乏くさい
ィ 居座り続けて帰らない
ウ 厄介でずうずうしい
工 あれこれと注文の多い
問四 文脈傍線部@とあるが、誰の、誰に対する「遠」
慮」か。最も適当なものを、次から選べ。
ア 岩蔵の女房の、自分の息子の嫁に対する遠慮。
イ 岩蔵の女房の、自分の息子とその嫁に対する遠慮
ウ 婆さんの、岩蔵の女房に対する遠慮。
工 婆さんの、岩蔵の一家に対する遠慮。
(Do)
JJ
|の
二重傍線部のように「涙」を含一
む言葉や慣用表現について、次の一
文の空欄に入る適当なものを、後
からそれぞれ選べ。
問五 文意傍線部9とあるが、これからどのようなこと
がわかるか。解答欄に合うように、二十字以内で説明
せよ。
一)
婆さんが毎年借りていた夜具を、
(動)
③ 別れがつらくく ( 1 )。
回 不利な条件だが(-7 )
間三 表現 傍線部。が表現している様子についての説明-
として最も適当なものを、次から選べ。
ア 古くなった自転車を、今にも止まりそうなほどゆ
っくりと走らせている様子。
苦しみを(オ)訴える。
6 最近やけに(ア )。
ア 涙もろい
ウ涙をのむ
オ涙ながらに
動の)
ということ
工 涙にくれる
2 ねぶくろ 三浦哲郎