総力戦
そのカイゼル・ウィルヘルム2世は、かかる戦争の初期の段階でオーストリアのカイゼルのフランツ・ヨ
ゼフに対して送った手紙の中で、次のようなことを記載した称せられている。
「奈の心を引き裂くものなれど、すべては炎と剣の下に置かれなければならぬ。老若男女はすべて虐殺
じゅもく
いっけん
し、一本の樹木、一軒の家たりとも立ち続けることを許してはならぬ。 フランス人のように堕落した人々
に対して作用する能力があるのはこのテロリズムの手法のみであり、これにより戦争は2か月で終わるこ
とであろう。しかし、 もしも余が人道への配慮を許さば、それは何年も延長されることであろう。 その
め、余の憎悪の念にも関わらず、余は先の方法を選ぶことを余儀なくされたのである」
これは皇帝の無慈悲な方針を示しており、そして、戦争の期間を短くするためのこの無差別殺人の方針は、
犯罪であると考えられたのである。
我々が検討しているこの太平洋戦争においては、右記のドイツの皇帝の手紙によって示されたものに何で
あれ近似するものがあるとすれば、それは連合軍による原子爆弾の使用の決定である。 この恐ろしい決定
への判定は将来の世代が下すであろう。 『東京裁判 全訳パール判決書』 ラダ・ビノード・パール著)
Q3. 上記のウィルヘルム2世の発言を読んで、あなたの意見をまとめよう。