問題演習
次の文章は「源氏物語』の若紫の一節で、体調を崩した光源氏について書かれたものである。これを読
んで後の問いに答えよ。
三
わらは病にわづらひ給ひて、よろづにまじなひ・加持などまらせ
2
※2
給へどしるしなくて、あまたたび起こり給ひければ、ある人、「北山に
なにがし
おとな
なむ、某寺といふ所にかして行ひ人。去年の夏も世に起こりて、
人々まじなひわづらひしを、やがてとどむるたぐひあまた侍りき。しして
らかしつる時はうたて侍るを、とくこそ試みさせ給は B |。」など聞こゆ
れば、召しにつかはしたるに、「老いかがまりて室の外にもまかでず。」と
申したれば、「いかがはせむ。 いと忍びてものせむ。」とのたまひて、御供に
より
いつたり
※4
むつましき、四、五人ばかりして、まだ暁におはす。
問1 傍線部①・②を現代語訳せよ。
問2
A には「侍り」を、
B
むろ
「には「む」を適当な形に直して入れなさい。
問3 傍線部とあるが、どのようなことを言っているのか。三〇字以内で説明せよ。
※3
(源氏物語)
全文
第1回 病気・祈祷・出家・死
8
7
9
[5]
3
2
1
(注)
※1 わらは病・・・間欠熱の一つ。
「おこり 【瘧】」とも言われた。
毎日一定時間に発熱する病で、
多くはマラリアを指す。
※2 北山…今の京都市北方に
ある山々の総称。
※3 ししこらかす・・・病気をこ
じらせるの意。
※4 暁(あかつき)…「夜明け」
を意味する言葉。 ここでは、
まだ夜が明けきっておらず薄
暗い様子。
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