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児のそら寝
今は昔、比叡の山に兜のありけり。僧たち、のつれづれに、
「いざ、かいもちひむ。」
かたかた
と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。さりとて、し出ださむを待ちのさらむも、わろかりなおと 思ひて、片方に
寄りて、たるよしにて、 いで来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。
「えい。」
「や、な⑥起こ
このさだめておどろかさむずらむと待ちゐたるに、俺の、
もの申し さぶらはむ。おどろかせたまへ。」
と⑥計ふを、うれしとは 思へども、ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、いま一声呼ばれて⑦いらへむと、
●じてたるほどに、
起こしたてまつりそ。効き人は宴入り たまひにけり。」
と言ふ声のしければ、あなわびしと思ひて、今一度起こせかしと、思ひ裏に聞けば、ひしひしとただひに食ふ音
のしければ、ずちなくて、無期ののちに、
5 11
といらへたりければ、僧たち 笑ふこと限りなし。
問傍線部1~4の動詞について、次の表を完成させなさい。
おと
基本形
活用の種類
活用形
あり
活用
2
3
10 9
8 7 6 5 4
3
110
1
言ひ
聞き
し出ださ
待ち
寝
思ひ
寄り
いで来る
待ち
13 し出だし
| 14 13 12
114 ひしめき合ひ
15 おどろかさ
16
19 18 17 16
待ちみ
申し
さぶら
18 おどろか
20
21 20
22
たまへ
言ふ
思へ
行行行行行行
行行行行行行行行行行行行
形
形
うじしゅうい
[宇治拾遺物語]
基本形
活用の種類
活用形
行行行行行行行行
活用
形
活用
形
S
活用
活用
形
活用
形
形形
形
| 30 29 28 27 26 25 24 23
いらへ
待ち
思
呼ば
2 いらへ
念じ
寝
3 起こし
3 たてまつり
3 寝入り
38 たまひ
言
し
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
形形形
形
形形形形形形形形形形形 形形形形
| 43 42 41 40 39 38 37 36 35
思ひ
3起こせ
聞け
食ひ
食食
食ふ
し
いらへ
笑ふ
行行
行行行
行
行行行行
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
活用
11
活用
活用
形
形
形
形
形
形
形
形
形
形形形
形