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ステップ
(wiff)
⑥
5
文法 動詞
編者未詳
『十訓抄』
白河院の命令で、北面の武士たちが、受領の任国下りの行列の真似をすることになった。武
士たちはみな着飾って、そのはなやかさを競い合った。
(注4)
左衛門尉行速、心ことにでたちて、「人にかれて見えなば、目馴れぬべし。」とて、御所近かり
ける人の家に入りて、従者を呼びて、「やら、御所の辺にて、見て来。」といひて、参らせてけり。
"無期に見えざりければ、「いかに、かくは遅きにや。」と、の時とこそ催しはありしか。 さら
む定、午未には渡らむずらむものを。」と思ひて、待ちゐたるに、門の方に声して、「あはれ、ゆゆし
かりつるものかな。」といへども、「ただ参るものなどぞ。」と思ふほどに、 の国司の姿、をか
(注7)
しかりつるものかな。」「藤左衛門殿は綿を着たり。」「源兵衛尉は物を金の文つけて。」など語る。
(注8 (9)
(注10)
(注1)
(注1)さじき
あやしくおぼえて、「やおれ。」といへば、この「見て」といひつる男、うち笑みて、「おほかた、
かばかりの見物候はず。賀茂の祭もことうるはしく、なにともおぼえ候はず。院の御桟敷の前、
渡しあひ給ひつるさま、目も心も及び候はず。」といふ。 「さて、いかに。」といへば、「はやう果て
m候ひぬ。」といふ。「それをば、いかに来て告げぬぞ。」といへば、はいかなることにか候ふらむ。
●おほかたとかいふ
(13)
参て見て来と候へば、目もたたかず、よくよく見て候ふぞかし。」といふ。
にもたらず。
2 受領地方の長官。 国司。
(注)1 北面の武士院の御所の警備にあたった武士。
3 左衛門尉行遠譚行遠。 平安時代後期の官人。
無期に いつまでも。
4 出でたちて
身支度をして。
玄蕃頭
6 さらむ定そうであるからと言っても。
玄蕃察(外国の使者の接待、僧尼の名籍の管理を司る役所)の長官。
布を継ぎ合わせて作った服。
10 やおれおい。
9 金の文金色の模様。
多くの人が、その行列の見物に詰めかけた。
賀茂神社の祭り。
13 いぶにもたらず言う言葉がない。
一段高く造られた見物のための席。
7
5 ステップ
賀茂の祭
B
前もって
り行
行
(P)
◎
8継物
12 御桟敷
問 語句 二重傍線部⑩の意味として最も適切
なものを、 次から選べ。
結局
【各3点】
⑩ ちょっと
すっかり
げ あえて
伊少しは
M たいそう
それほど
まったく
(だいたい
同二語句】 一重傍線部は、午前もしくは午後何時
ごろを表しているか。 書け。
【4点】
ごろ
間三〇文法 二重傍線部A~Cの活用の種類と活
用形を書け。
【3点×3】
活用用形
活用
形
H.
形
[30]
読解
②
C
行
活用
関四内容 傍線部について、行はどのような意
次から選べ
味でこのように言ったのか。 最も適切なものを、
1 ゆっくり行列でも見物して来い
行列が始まったか確認して来い
行遠のいの評価を調べて来い
皆が怒っていないか見て来い
白河院の様子を観察して来い
問五解釈 傍線部②④を現代語訳せよ。 【各5点】
問六内容 傍線部③について、行達はなぜ「あやし
くおぼえたのか。その理由として最も適切なも
のを、次から選べ。
⑦ まだ行遠は行列に参加していないのに、外か
ら行遠の装いを評する声が聞こえてきたから。
行遠の装いが最もはなやかだったのに、外の
人々がまったく話題にしていなかったから。
(⑦) とっくに行列は終わっているはずなのに、行
列を見物に行った従者が戻って来ないから。
H とっくに行列は始まっているはずなのに、だ
れ一人として行遠を呼びに来ないから。
まだ行列は始まっていないはずなのに、外か
ら行列の感想を述べる声が聞こえてきたから。
同七 読解 傍線部⑤について、従者がこのような行
動をとったのは、何をどのように理解したからか。
三十字以内で書け
【8点】
ARARA
内容を確認しよう
本文中の語句を補おう
参考図
(各2点】
【行遠】「やら、御所の辺にて、見て来」
従者が出て行く
門の方で声がする
玄蕃頭の国司の方などに
ついて話す
者を呼ぶ
【行速】「いかに来て告げぬぞ」
【従者】
ゆゆし
(4) (3) (2) (1)
候へば、目もたたかず、よく
よく見て候ふぞかし」
SK
行行
と
イ ひどい
行行
マ知識を確認しよう。
重要古語
① 空欄に本文中の意味を書け。
2 やら)
形容詞・シク活用
①不吉だ・ひどい・はなはだしい
② 次の傍線部の意味を後から選べ。
【2点】
○ 「ゆゆしき罪にも候ふ。 ...」
(宇治)
⑦ つまらない
(⑦) すばらしい
文法の問題(動詞)
③ 次の傍線部の活用の種類と活用形を書
け。
【2点×4】
〔宇治]
(方丈)
1 「いづち往ぬるぞ。」と問ふに、
② にはかに都うつり侍りき。
③ 大きなる柱、河の中に四つ立てり。〔更級]
4 しばしは恨みたるさまにて、
(宇治)
活用
活用
【各1点】
【各1点】
活用
活用
④ ( )内の語を正しい形に活用させよ。
1 のちにさる事も(す)ざりける。
図制し(とどむ)ども、きかで、
(宇治)
⑤ 次の傍線部の音便の種類ともとの形を書け。
【各1点】
○両手をすつて申けるは、
音便