見た目は普通の紙なのに、二一
第一つ折りにしても、投票箱のなか
ですぐ開く。多くの選挙で使わ一
れているのは「ユポ」という合」
天成紙だ。職員が一枚一枚手で広一
げる労力を省き、開票作業の劇一
的なスピードアップをもたらした▼「す
ぐ開いてしまうという欠点を利点にする
逆転の発想でした」と話すのは合成紙メ
ーカー「ユポ。コーポレーション」(東
京)の加工品部長、鹿野民雄さん(認)。
ユポの売りは水に強く丈夫なこと。屋外
用の地図などに使われていたが、折り曲
げにくく収納しづらいと苦情が寄せられ
た0年ほど前、当時の社員がこの弱点一
に目をつける。投票用紙を試作してみた
が、なかなかうまくいかない。「汗で用
紙がくっつく」「計数機に詰まって票を
数えられない」。お蔵入りになりかけた一
計数機を買い込み、表面の特殊加工を一
何十種類と試し、スムーズな通りを実現
した。初めて採用されたのは1980年
代。地方選挙で「開票時間が3分の2に
なる」と評判に。8年からは国政選挙で
も使われるようになったという▼筆者が一
きのう、期日前に投じた一票もユポだっ
た。紙にはないつや。硬質な指触り。な
めらかな書き味。あえて折ってみてもす
ぐ戻る。投票箱に収まる姿を見届けなが
ら、これまで用紙の改良と開票時間の短
縮に奮闘した人々の苦労を思った▼きょ
うはいよいよ投開票日。近年、衆院選の一
投票率は0%に届かない。投票所に足」
を運べば、ちょっとした達成感といっ
しょに投票用紙の感触も味わえます。
2021· 10.: