安心というのは、車の後ろの座席で眠ることだということを、チャーリー・ブラウンにさらりと言わせるシュルツ
のA着想は抜群である。しかも、それは長くは続かない。人間は大人になる。そして②前の座席に行かな
ければならない。これはbけることができない運命であり、後ろの座席で眠ることはもう決して、「絶対にで
きない」のである。〈中略〉
第二次世界大戦はcハゲしさを加えていた。シュルツは、ヨーロッパ戦線への要員としてd 徴兵されたが、出
征までの間の毎週末を母のもとで過ごした。身を削るe 闘病ののちに母は死んだ。そして母の葬儀の直後に、
シュルツは兵士としてヨーロッパ戦線に出陣していった。
母の死と戦争体験が、シュルツの精神にいつまでも残る影を投げかけた。③子供は突然大人になる。そして二
度と再び後ろの座席では眠れなくなる。作者がチャーリー・ブラウンに語らせている、④この言葉は重い。