A 自然界に生息しているさまざまな動物において, 遺伝子突然変異により黒色色素
(メラニン)を合成できない白化個体 (アルビノ) がまれに観察される。 メラニンを
合成する野生型はアルビノに対して優性で, この形質を支配する遺伝子は常染色体
上に存在する。
実験観察に利用するために飼育されている小動物 (産子数が数千) の集団の中か
ら、表現型が野生型の個体のみを選んで交配実験を行ったところ、 雌雄12000 対の
うち30 対から生まれた子のなかにアルビノが観察された。 同様の交配実験を異な
る世代においても何度か行ったが, アルビノを生む雌雄の割合は常に一定であった。
このことから,アルビノの遺伝子はこの小動物の集団の中に一定の頻度で維持され
ているものと考えられる。
野生型の遺伝子をA, アルビノの遺伝子をaとし, それぞれの遺伝子頻度をpと
g (p + g = 1)とすると,ある世代での遺伝子型と遺伝子型頻度との関係は表1の
ように示される。
遺伝子型
遺伝子型頻度
AA
p²
表 1
Aa
2pq
aa
9²
全体
1