-
-
理工学部
生物課題
問題 [4] 次の文章を読んで,以下の問いに答えなさい。
両生類の胚発生において, (a) 原口背唇部は重要な役割を担っている。 原口背唇部の細胞が、このよう
発生のごく初期では、胚内の
な特別な性質を獲得するしくみは、おおよそ以下のようなものである(b
全ての細胞の細胞質中で,タンパク質 Aはタンパク質 B と結合し、Bが核内に移行するのを抑制して
いる。ところがある時期になると,原口背唇部となる予定領域内の細胞では、周りの細胞からのはたら
きかけにより,タンパク質Aはその機能を失う。Aがはたらかなくなると,Bは核内に移行し、核内で
タンパク質 C を指定する遺伝子の転写を促し、その結果タンパク質 C がつくられる。 C がはたらくと
細胞は原口背唇部の性質を獲得する。
ショウジョウバエでも、 初期胚の形態形成にはたらくさまざまな遺伝子が見つかっている。前後(
尾) 軸形成にはたらく (e) 調節遺伝子の一つ、遺伝子Dについて調べたところ, 未受精卵の前方に遺伝
現され,前後軸に沿って遺伝子Dにコード
子DのmRNA が局在し, 受精後にこのmRNA が
されたタンパク質の濃度勾配ができていた。 突然変異で機能を失った潜性 (劣性) 対立遺伝子と正常
遺伝子Dをもつヘテロ接合体 Ddの雌雄を交配して生まれた次世代には, 発生過程で形態の異常は見ら
れなかったが, ホモ接合体dd の雌と野生型DD の雄を交配して生まれた次世代は、 前半部の形態が正
常に形成されずに尾部のように変化した幼虫となった。 野生型 DD やヘテロ接合体 Ddの雌とホモ接合
体dd の雄を交配して生まれた次世代には異常は見られなかった。 また, (d) ホモ接合体dd の雌と野生
型 DD の雄を交配させて得た受精卵の前方に、正常な受精卵の前方から得た細胞質を注入すると, 正常
な形態を
もつ幼虫となった。 このように, 雌親の遺伝子型に従って受精卵における表現型が決まる遺伝子を
イタ遺伝子と呼ぶ。
ショウジョウバエのからだは,頭部・胸部・腹部からなる。 初期胚において, 分節遺伝子のはたらき
によってウと呼ばれる繰り返し構造が形成され、各区画に応じた器官がつくられる。これに対
し、各区画に応じた器官がつくられず, 触角ができるべき場所に脚がつくられる突然変異など、からだ
の一部が別の器官に置き換わる変異が知られている。 このような変異は
エ
節遺伝子の異常によって起こる。 さまざまな
オ と呼ぶ。
エ
遺伝子と呼ばれる調
遺伝子に共通に見られる特徴的な塩基配列を
間 1 空欄
ア
オ
にあてはまる最も適切な語句を答えなさい。
問2 下線部(a)について。 原口背唇部は神経誘導を行う形成体としてはたらく。一般に,誘導とは
どのようなはたらきか, 簡潔に説明しなさい。
問3
下線部 (b)について。 AまたはBを指定する遺伝子が失われたため,それぞれのタンパク質が
全くつくられなくなった胚を用いて以下のような実験を行った。
実験① 初期原腸胚期に、正常胚から,本来原口青唇部を形成する背側部分を切り取り、それを別
の正常な初期原腸胚の腹側領域に移植すると、腹側にもう1つの胚(二次胚)が形成された。
56
問