花は盛りに
2
花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは。雨に向かひて月を恋ひ、垂
*作
こずゑ
れこめて春の行方知らぬも、なほあはれに情け深し。咲きぬべきほどの梢、散
3ことばがき
りしをれたる庭などこそ、見どころ多けれ。歌の詞書にも、 「花見にまかれり
けるに、はやく散り過ぎにければ。」とも、「障ることありてまからで。」など
FEMIND
かたぶ
も書けるは、「花を見て。」と言へるに劣れることかは。花の散り、月の傾くを
慕ふ習ひは、さることなれど、ことにかたくななる人ぞ、 「この枝、かの枝散
りにけり。今は見どころなし。」 などは言ふめる。
fit=j&
for-j
*
*
完了「」
ST
5
HA