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思考学習!! アボガドロ定数の測定の歴史
歩美は, アボガドロ定数がどのようにして求
められたのか興味をもった。 先生に聞いてみる
と、現在のアボガドロ定数は, 高純度のケイ素
の結晶の球体(図A) に含まれる原子の数を, 精
密にはかって求めているということだった。
また, アボガドロ定数を求める試みは19世
紀末ごろから始まり,今日までさまざまな方法
で測定してきたことを先生から聞いた。 そこで,
図A シリコン結晶
歩美は, そのアボガドロ定数測定の歴史を調べてみることにした。
調べていくと, アボガドロ定数の測定方法の一つにステアリン酸の単分子膜
を利用する方法があることがわかった。
ステアリン酸分子 C17H35 COOH は, 水になじみやすい部分(-COOH)と
やすい液体に溶かして清浄な水面に滴下する。 すると液体が蒸発してステアリ
みにくい部分(C, Hgs-) をもつ(図B右)。これをシクロヘキサンのような蒸発し
ン酸のみが水面上に広がり, 分子の-COOH を水側, C17H35-を空気側に向けて、
一層にすき間なく並ぶ(図B左)。 これを単分子膜という。
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S〔cm²〕] (単分子膜の面積)
s〔cm²)
ステアリン酸1分子が
水面上で占有する面積
同
H)
CH3
水になじみにくい
部分
CH2
1 水になじみやすい
水面
O OH
部分
単分子膜
ステアリン酸1分子
図B ステアリン酸の単分子膜
HM (1)
mol
単分子膜の面積と,ステアリン酸1分子が水面上で占める面積がわかれば,
単分子膜に含まれる分子の数がわかり, アボガドロ定数を求めることができる。
その計算過程を順に考えてみよう。
|考察■ 単分子膜の面積を S[cm],ステアリン酸1分子が水面上で占める面
|積をs[cm?]としたとき, 単分子膜をつくるステアリン酸分子の数はど
のような式で求められるか。