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小説一24
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-日 政と源 三浦しをん
テーマ徹平の仕事に対する思いを読み取ろう
l三浦しをん
= と際
Q ポイント心情を象徴する語句に注意する
薄地の布を小さく折りたたんで作るつまみ蕃の職人の修業をしている徹平は、父親に結婚話をするが良い返事をもらえ
ず、師匠(源二郎)の幼なじみの国政のもとを訪ねる。
*お父上 徹平の父。
O「お父上は、怒ってしまったんだね」
「はい。怒るだけならいいんすけど、師匠やつまみ蕃のことまで悪く言って」
「どんなふうに.」
「そんなカビの生えたようなものを作って、なんになる。蕃なんて、いまどきだれも使わない。たいした稼
ぎにもならないうえに、さきがない業種じゃないか、って」
段落要約
文中の語句を入れよう
日-回 く
つまみ特作りをし
Jロう父に、徹平は
2徹平は唇を噌み締め、こみあげる憤りを抑えたようだった。「そういう親だなんて、師匠には言えません」
国国政には、徹平の気持ちがよくわかった。職人は、自分の仕事を「業種」という言葉に当てはめてみたこ」
となどないだろう。源二郎も、見習いの徹平でさえ、つまみ蕃を作ることを単なる仕事とは思っていないは
憤りを感じる。
回-回 開e
徹平の相談を受けた国政は
ずだ。稼ぎの多寡も、かれらにとっては問題ではない。追究すると楽しいから、作っても作ってもまだ底が
見えぬほど奥深いから、毎日ピンセットで布をつまむ。指さきから、セイコウで華やかな花や鶴や鋼を生み 9
だしていく。
み管作りを
J。
える徹平の気持ちを理解する
回- 回 国2
一方で、以前銀行で働いていた国
政には、つまみ静作りをり
国源二郎や徹平にとって、つまみ蕃職人とは職業ではなく、生きかただ
5だが、徹平の父親の気持ちもまた、国政にはわかった。ゲンエキ時代、国政は銀行員だった。国内の政治
や経済の動きはもとより、世界情勢にも目を光らせ、組織のリジュン追求のために働いた。そうやって、ま
さしく馬車馬のように働いたものたちがいるから、いまの社会があるのだと自負してもいる。基本的にはカじ
イテキで、飢えのない社会。形あるものならほとんどすべて売っていて、金さえあれば手に入る社会。
もあった
ロ-回 出とめ
国銀行で働いていた当時、幼なじみの源二郎がちまちまと蕃を作っていることを、内心で一回もばかにしな
仕事をリタイアし妻にも去られた
かったと言ったら嘘になる。女子どもが使う、しかも時代遅れの品。どんなに手のこんだうつくしいつくり
国政は、徹平の父の考えをも
であっても、象牙や銀細工の箸に比べれば、つまみ蕃は安価だ。ひとつ数千円、最上級の品でも三万も出せ
ば買える。何千万、何億という単位の金を動かすこともある国政からしてみれば、侮る気持ちがなかったと a
(ロ一)
は言えない。
回仕事をリタイアしてからはもはやなにもすることがなく、妻にも去られ、そこではじめて国政は、金では
測れない価値について本当に考えるようになったのだった。
「きみのお父上は、正しいけれどまちがっている」
回国政は静かに言った。
本文の集
AKIKッレの
|成
間一僕字)傍線部a~dの力タカナを漢字に直せ。各1点)
各意味段落にタイトルをつけた。
次の空欄に入る適当な言葉を、後
からそれぞれ選べ。
日· 徹平の(
日
問四 心情 傍線部9とあるが、当時の国政は源二郎の仕一
事をどのように感じていたか。最も適当なものを、次」
ロ
(OE)
問ニ心情傍線部0とあるが、徹平が憤りを覚えた理由一
として最も適当なものを、次から選べ。
ア職業の価値を収入でしか判断しない父の言葉に、
つまみ審職人全体に対する侮蔑を感じたから。
ィ 伝統工芸など無意味だと断言する父の言葉に、伝」
統文化をないがしろにしていると感じたから
つまみ審作りにかける自分の情熱を理解しない父一
に、自分の生きかたを否定されたように感じたから。
ェー方的に結婚に反対する父の言葉に、子供を頭か
ら押さえつけようとする親の横暴を感じたから
オつまみ蕃作りでは生活できないという父は、伝統
工芸の可能性を理解していないと感じたから
徹平に対する、国政の
ア 世間から正当に評価されない仕事である。
ィ やりがいがなく取るに足りない仕事である。
ウ 封建的な徒弟関係の前近代的な仕事である。
工 需要がなく、役に立たない仕事である
オ あまりに自由でいい加減な仕事である。
6)
現役時代の国政
ロ·回リタイアした国政の気づ
きと国政が出した答え
イ おかしさ
H
力 理解業
ク反抗県
D
問五文脈傍線部○とあるが、徹平の父のどのような考
え方が、0 「正しい」、2「まちがっている」と言っ
ているのか。それぞれ二十五字以内で説明せよ。
JJ
ア悲しみ
合計
(如のE)
* 撃
JJ
間三 文脈 傍線部3を説明した次の文の空欄に入る適当
な語句を、Iは五字、Iは二字で答えよ
職人がつまみ管を作るのは、( I
けではなく、奥深い(Ⅱ )の追究そのものに生き
がいを見出しているからだということ。
二重傍線部「カビの生えたよう
なもの」と似た意味で使われてい
る言葉を、文中から六字で抜き出 政
(如寸)
)ためだ