説話を読む
●ガイド 仏教説話は訓
我が底に流れている。 人
物の動作・状態・心の動
きを細かく理解する。
沙石集・発心集
1 次の文章を読み、あとの問いに答えなさい。
注1
昔、伊豆の国の、ある所の地頭の若く、猟のついでに、猿をとりて、柱に
しばりつけておきにけるを、母の尼公慈悲ある人にて、 「あら、いとほし。冠
者ばら、あれときゆるして、山へやれ。」と言へども、主を恐れて、とくもの
なかりければ、我とときゆるして、山へおひやりてけり。これは春の事なり
けるに、夏のころ、いちごを柏の葉につつみて、人のひまに持ちて来てけり。
かしは
注2
あまりにあはれに覚えて、布の袋に大豆を入れてたびたりける。 九月ばかり
に、彼の袋に栗を入れて持ちて来たりける時、あまりに不思議にも、いとほ
しくも覚えて、とらへておきて、子供召して、かかる心ある次第かたりて、
「これ程に恩を知る、心あるものなり。今より以後、比の後に、子々孫々ま
注3
で、猿殺さじと起請を書け。さらずは、親子の縁あるべからず。」とて、起請
書かせて、当時までも、彼の所に猿殺すことなしと申し伝へたり。(沙石集)
1冠者―年少の召使い 2 たびたりける―与えた 3起請―神仏などに誓
いをたて、自分の決意を示す文
1【人物吟味】
-線③の「主」とはだれのことですか。書きなさい。
(地頭の若い男
【内容吟味】 ―線⑨を具体的に四字以内のことばで書きなさい。
風
【口語訳】 一線①・③・⑤の現代語訳として最もふさわしいものを、
次から選んで、記号で書きなさい。
⑦ 気の毒だ
イ
困る
かわいい
16
ise
TONE
HAYAL
古典
ウ いじらしい