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標準編
こんじゃくものがたりしゅう
今昔物語集
次の文章は、鬼が出没するという噂の橋を渡っていた男が、 ある女に出会う場面である。
見れば、
は薄色の衣のなよよかなるに、凄き単、紙の特長やかにて、口覆ひして
わりなく、心苦しげなる日見にて、女みたり。うち眺めたる気色もあはれげなり。
我にもあらず、人の落とし置きたる気色にて、橋の高欄に押しかかりてゐたるが、
人を見て、恥づかしげなるものから、うれしと思へる様なり。男これを見るに、
さらに 来し方行く末も覚えず、 「かき載せて行きなばや」と、落ちかかりぬべくあ
はれに思へども、「ここにかかる者のあるべきやうなければ、これは鬼なんめり」
「とて、「過ぎなむ」とひとへに思ひなして、目を塞ぎて走り打ちて通るを、この
女「や、あの主などかいと情けなくては過ぎ給ふ。 あさましく思ひがけぬ所に
人の捨て行きたるなり。人里までみておはせ」と言ふをも聞き果てず、頭身の毛
太るやうに覚えければ、馬をかき早めて飛ぶがごとくに行くを、この女、「あな情
けな」と言ふ声、地を響かすばかりなり。立ち走りて来たれば、「さればよ」と思
ふに、「観音、助け給へ」と念じて、あさましくとき馬を、鞭を打ちて馳すれば、
鬼走りかかりて、 馬の尻に手をうち掛けうち掛け引かふるに、油を塗りたれば、
引きし引き外して、え捕へず。
*薄色薄紫色。 濃き 濃い紫色。 我にもあらず ほうぜんとして。 *油用心
のために馬の尻に塗っておいた油。
問 傍線部ア~キの動詞について、次の問いに答えよ。
傍線部ア・オを適当な漢字に改めよ。 また傍線部力の読みを平仮名で記せ。
M傍線部イ・ウ・エ・キの活用の種類を記せ。
行
活用
活用
活用
活用
間二 二重傍線部A~Eの中で、 一つだけ異なる人物を指示しているものがある。その記号を記せ。
3点
問三本文中から、 限りない恐怖感を示している表現を、 十五字以内で抜き出せ。
問四傍線部3を、それぞれ口語訳せよ。
問五傍線部2を、内容がよくわかるように十五字以内で口語訳せよ。
20-25
H
BO
HORN S
行
指示語
わりなし さらに・来し方」/動詞の活用
本文要約
次の空欄を埋めよ。
橋の上の女・・・
だれかが置き去りにした -
・男を
行
各2点
各1点
男の対応…..
In teminti ***
夫使
女の反応・・・
男に
をかけ、走って追って来る。
語彙問題
波線部a~cの本文中での意味を記せ。 活用語
は終止形に直してある。)
各4点
a「わりなし」
「さらに」
「来し方」
E
てうれしく思っている。
だろうと推測し通り抜ける。
[文法要説
動詞の活用の判別法
①一段活用と変格活用は、動詞を暗記
上一段活用…着る・似る・干る・見る・射る・
居る率る、など
下一段活用・・・蹴る
カ行変格活用・・・来
サ行変格活用・・・す・おはす
ナ行変格活用・・・死ぬ・往ぬ
ラ行変格活用・・・あり・居り・寄り・いますかり
②四段上二段・下二段は、 「ず」を付けて判断
ア段の音+「ず」 →四段活用
イ段の音+「ず」→上二段活用
「段の音 「ず」→下二段活用
[文法問題
次の傍線部の動詞の活用の種類と活用形を記せ。
各2点
1 この人を具して往にけり。 徒然)
活用・
を抱いて
行
それは唐土の人の着る物なれば、(枕)
活用・
③暮るるまで、 かく立ち騒ぎて、(徒然)
活用・
④4 嘆かしげに思ひたり。(竹取)
行
活用・
L.E
て行きたい。
一形
HE
F