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第4章 遺伝情報とその発現
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演習問題
必修基礎問30
解答は320ページ
一定の長さのDNAをゲノムにもつファージ(バクテリオファージ)と宿主で
ある大腸菌を用いて以下の実験を行った。いずれのファージも、ファージ
DNA は感染後すみやかに細胞内に入り、また大腸菌には複数のファージが感染でき
るものとする。
実験 1 野生型ファージAを大腸菌に感染させると, 2時間後にファージが大腸菌の
細胞壁を破って外に出てきた (ファージの増殖)。
実験2 実験で、感染15分後に大腸菌を60℃で10分間加熱すると、その後のファー
ジの増殖は認められなかった。 しかし感染100分後に同様に加熱した場合は、加熱
終了後10分でファージの増殖が認められた。
実験実験でファージ感染15分後,あるいは感染100分後の大腸菌をすり潰し
て遠心分離し,その上清 (抽出液)を別の大腸菌に注入したところ,それぞれ抽出液
注入後105分後と20分後にファージの増殖が認められた。
実験4 突然変異型ファージB, あるいは突然変異型ファージCの単独感染では,大
腸菌には何の変化もみられなかったが,両ファージを同時に感染させた場合
ファージの増殖が認められた。
問1 ファージA感染100分後の大腸菌の細胞内にみられる, ファージに由来する物
質はどれか。 次から適当と思われるものを1つ選べ。TOK
① タンパク質のみ
② DNA のみ
③ タンパク質と DNA のみ
④ DNA と RNA のみ ⑤ タンパク質と DNA と RNA
問2 実験2で,感染15分後の大腸菌を加熱してファージの増殖が認められなかった
理由を, 20字以内で答えよ。
問3 ファージA, B, Cを同時に大腸菌に感染させた場合,どの種類のファージが
増殖すると考えられるか。 次から最も適当と思われるものを1つ選べ。
①3種類全部増殖する。
② BとCのみが増殖する。
③ Aのみが増殖する。
5 AとCのみが増殖する。
④ AとBのみが増殖する。
⑥ 全く増殖しない。
問4 実験3で調製した抽出液を 60℃, 10分間加熱した場合, ファージの増殖はど
うなると考えられるか。 次から適当と思われるものを1つ選べ。ろ、 図2に示
① 感染15分後に調製, 加熱した抽出液を用いると,その後ファージの増殖は認め
られないが, 感染100分後に調製, 加熱した抽出液を用いると, ファージの増殖
は認められる。
HO
② 感染15分後に調製, 加熱した抽出液を用いると,その後ファージの増殖は認め
られるが,感染100分後に調製, 加熱した抽出液を用いると, ファージの増殖は
認められない。
③ いずれの抽出液も, 加熱すると,その後ファージの増殖は認められない。
① いずれの抽出液も 加熱の有無にかかわらず,その後ファージの増殖は認めら
れる。
問5 実験 3 で, 感染100分後の抽出液を注入する前に, (a) DNA 分解酵素処理, (b)
様の操作を行った。 抽出液注入後20分でファージの増殖が認められなかったのはど
RNA 分解酵素処理, あるいは (c)タンパク質分解酵素処理を十分に行い,その後同
の場合か。 次から適当と思われるものをすべて選べ
①を行った場合
② b を行った場合
④ aとbを組合せた場合⑤
⑥acを組合せた場合
③cを行った場合
bとc を組合せた場合
⑦ すべての操作を組合せた場合
問6 実験 4 で増殖したファージの中に,そのファージ単独で増殖し、同じ性質の
ファージをつくることのできるものがみつかった。 この現象が起こった理由を 60
字以内で少なくとも2つ述べよ。
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必修基礎問 34, 35 実戦基礎問 12
〈千葉大〉
ある種のカビは培地で培養すると菌糸がメラニンという黒褐色の色素を合成
する。この菌に突然変異を誘発させ、正常なメラニン色素をつくれない3種類
の変異株を分離した。 得られた変異株はメラニン合成経路における代謝欠損点が異な
ると考えられ,培地中にメラニン前駆物質を分泌し、その物質の色に特徴的な3つの
形質に分類された。変異株Iは前駆物質Aを分泌することにより薄茶色を呈し,変異
株は前駆物質Bを分泌することにより赤色を呈し,変異株Ⅲは前駆物質Cを分泌す
ることにより黄色を呈した。
実験1 メラニン合成代謝経路を調べるために次の実験を行った。
3種の菌を培地上で各菌が接するようにして培養したところ,
図1のように接触した菌糸部分にメラニン化の復帰が認められ
た。これは分泌されたメラニン前駆体が培地内に拡散し、それ
を摂り込んだ菌が代謝した結果によるものと考えられた。
問1 人為突然変異を誘発する方法を2つあげよ。
問2 実験1の結果から 代謝経路
メラニン前駆体の代謝
過程を推定し, 右図2
のア, イ, ウに対応す 図2
林山
株Ⅱ
図1 メラニン化部位
ア
→ ウ
メラニン
酵素・・・・・
E1
E 2
E 3
遺伝子......... G1
変異株・・・・・・・・・ I
G2
G 3
オ
前駆物質をA, B, Cの記号で答えよ。 また, エ, オ,カには対応する変異株を
I. I. IIIの番号で答えよ。
実験2 この菌はアカパンカビと同様な有性生殖を行い, 単相(n)の核をもつ菌糸が
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第4章 演習問題 133