次の文章と俳句を読んで、後の問いに答えなさい。
じゅうしちおん
俳句は、五·七.五の十七音の定型詩です。その小さな詩が多くの人々に
あいかん
愛好されているのは、野に咲く花から大自然まで、あるいは人生の哀歓など
を豊かに表現できるからでしょう。
定型とともに俳句を支えているのは季語の働きです。定型と季語、この二
つに注意を払いながら作品を読んでみましょう。
はら
5
A たんぽぽや日はいつまでも大空に
a
かみご
なかしち
しも)
五·七·五は、それぞれを上五·中七·下五とよびます。この句は、「た
んぽぽや」と「日はいつまでも大空に」の二つの部分に分かれていますので、
上五で切れている、あるいは上五に「切れ」があるといいます。「たんぽぽや」
の「や」は切れ字といい、「たんぽぽ」を印象づけるとともに明確な切れを 0
示します。上五の切れは、間を置くことによって緊張を高め、次への期待を
膨らませる効果があります。
この句の場合、上五は春の季語である「たんぽぽ」によって、明るい日差
しやのどかさを連想させます。続く中七·下五は、大空の太陽がそのまま動
きんちょう
V
かずにいるのではないかと思うほどの日永の気分を伝えています。この二つ 5
ひび
ふR 3
の部分が響き合うことによって、春らしい雰囲気の高まりを感じさせるので
かがや
す。地上の小さな太陽というべきたんぽぽと大空の太陽は、輝きを分かち合っ
えが
じゅうそく
ているかのようです。大きな空間を描いたこの句には、春の日の充足感が満
ちています。
この「たんぽぽ」と「日はいつまでも大空に」のように、季語とともに、 0
一見無関係に思える事柄を詠み込む方法を「b」といいます。(略)
ことがら