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国ス 中3
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第六銀座
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
価値観の相対化した現代社会においても、「一般的に認められるような価
がまったくないわけではないし、価値観や信条の異なる人々が共通して
「価値がある」と認めるような対象や行為はやはり存在する。それは「客観
的に正しい価値」とは言えないが、多様な立場の人々が共通して認める価値
ふへんせい
であり、そこに私たちは価値の普遍性を確信することができる。そして、こ5
のような意味での「価値の普遍性」を「一般的他者の視点」から導き出すこ
とは、決して不可能な試みとは言えない。
では、価値観や信条、関心の異なる人々が共通して「価値がある」と認め
るような対象や行為とは、一体どのようなものであろうか?
A 関心や価値観が異なる人間であっても、一生懸命にがんばって10
その道に精進していれば、その「努力」は承認してくれるだろう。陸上部
で毎日練習を積み重ねている人間に対しては、誰もが「陸上に関心はないが、
あの練習量は大したものだ」と思うだろうし、仕事や勉強に励んでいる人間
に対しては、どのような価値観や立場の人であっても、普通はその努力を認
めるはずである。それは、当人が目指していた表現や結果への評価ではない5
が、その人自身のあり方に対する承認という意味で、自己価値の確信に深く
関わっている。
実際、何らかの努力をしている多くの人が、価値観や感性の異なる人々で
も、自分の努力は認めてくれるだろう、と心のどこかで思っている。私たち
は多くの場面で「一般的他者の視点」を想定し、一般的承認の可能性を暗々20
裏に確信しつつ行動しているのである。「努力」の他にも、「やさしさ」や
「勇気」「忍耐力」「ユーモア」など、関心や価値観が異なっていても共通し
て認められる可能性を持つ価値は存在する。そして私たちはこのような価値
に関わる行為をしているとき、普通は誰でもこの「努力」(あるいは「やさし
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