次の文章を読んで、あとの問いに
人間は、もともと自然の恵みに従って生きていました。 畑や田んぼを耕し、作物を育てるという農
を行っていたのです。この農耕、つまり作物を育てるためには、種を撒き、 作物が実るまで待つ必要
がある。収穫は、気候条件にも左右される。だから人間は土地に縛られ、気候に左右され、総じて自然
して、生活していました。
ところが一六、七世紀頃になると、ヨーロッパでさまざまなことが大きく変わり始めます。自然に
頼らなければできなかったものも、人間が自分の力でつくり出すようになるわけです。 それが工業の発
で、自然の条件に依存せず、自分の意志で、自由に、好きなものをつくり出せるようになったのです。
当時のヨーロッパでは、人間は自然に頼らず、むしろ自然を支配し、自然からいろいろなものを取
ってそれを利用し、人間が自分にとって必要なものをどんどんつくっていけばいい、と考えられるよう
になっていきました。
要するに、それまでの農耕 (agriculture) と新しい産業 (industry) とは、まったく違う種類の活
動で、 industry こそ人間を自然への隷属から解放し、自由にすると考えられたのです。
(西谷修「私たちはどこにいるのか?
にしたお
てつがく
―哲学入門」 より)
にあてはまる言葉として最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア保証 イ開発 ウ 支配 エ依存
② 線①「さまざまなことが大きく変わり始めます」とありますが、どういうところが変わり始めたの
ですか。 次の文の にあてはまる言葉を、文章中から四字で書き抜きなさい。
人間が、自然に頼らなくても
でものをつくり出せるようになったところ。
一線② 「それ」が指す内容を、十字以上十五字以内で書きなさい。 (句読点も字数に含む。)
筆者の意見がまとめられている段落を、①~④の段落番号で答えなさい。
(4) (3)
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