3 ニューロンによる電気的な信号の生成とそれを伝えるしくみ
ニューロンが受け取った情報は,どのようなしくみで伝えられていくのだろうか。
細胞内に微小な電極を挿入すると 細
胞内外の電位差を測定することができ
オシロスコープー
記録電極
る(図5)。 細胞膜を隔てたこの電位差
基準電極
まくん
を膜電位という。膜電位は,イオンチャ
membrane potential
ネルの働きによってつくられ, 細胞が刺
ニューロン
激を受けると変化する。
図5 膜電位の測定方法の模式図
A 静止電位
細胞が刺激されていないとき (静止状態)の膜電位を静止電位といい,細胞外を0mV
せいでんい
resting potential
とすると,細胞内は多くの場合70mV程度の値を示す。 このように,細胞膜の内外
で電位差が生じることを, 膜電位における分極という。
静止電位は,細胞内外のイオンの濃度差で生じる。 細胞内と細胞外では,各イオン
の組成は異なり、細胞内では細胞外よりもNa+濃度が低く, K+濃度が高くなっている。
この濃度差は,主にナトリウムポンプ(p.118) によって生じている。 細胞膜には
に開いているカリウムチャネルがあり, 'K+は濃度勾配に従って細胞外へ拡散しよう
とする。 K+の細胞外への移動に伴って, 細胞内は電気的に負になり, K+ を引き戻そ
うとする力が生じる。 ある程度K+ が細胞外へ出ると, 拡散しようとする力と引き戻
そうとする力が釣り合い, 見かけ上K+の移動が止まる。 その結果, 細胞膜の外側表
面には陽イオンが, 内側表面には陰イオンが集まる。 この状態の膜電位が静止電位で
ある (図6)。
++)
K+以外の陽イオン
低
(
陰イオン
細胞外
K
の
細胞膜
濃
wwwwww
K+が細胞外へ
出る量がふえる
と,その分K+
細胞内に引き
しだいに力が +
釣り合う
細胞膜の近傍
に、電荷の偏
りができる。
度
細胞内カリウムチャネル 戻そうとする電
気的な力は大き
くなる。
◆ : K+が拡散しようとする力
:K+にかかる電気的な力
(矢印の長さは力の大きさを, 向きは力の向きを表している。)
図6 静止電位の形成
MOVIE
しさにも