浜松医科大学入試対策講座
演習問題 2
No. 2 (裏)
生物の細胞内では、さまざまな化合物の緩衝作用により,pHが中性付近に保たれている。リン酸二水素塩とリン酸
水素塩の組み合わせもその一例である。以下では、これらのリン酸塩の25℃における電離平衡と緩衝作用について
考えよう。リン酸は水中で次のように3段階で電離する。
HsPOH+ + H2PO4 (1)
H2PO4H+ + HPO
HPO H+ + PO (3)
(2)
Ki = 7.5×10mol/L
K = 6.2×10mol/L
K's = 2.1×10-13mol/L
K. K, K はそれぞれ (1) (2) (3) 式の平衡定数である。 また、水のイオン積を K(=1.0×10-14mol/L2 ) とする。
はじめに, 0.10mol/LのNaH2PO4 水溶液の平衡について考える。 この塩は水中で完全に電離する。 生じたH2P
O イオンに関しては, (2) 式の平衡の他に次の平衡が存在する。
.(4)
H2PO4 + H2O H3PO4 + OH-
この平衡において、水のモル濃度 [H2O][mol/L]は一定とみなせるため, (4) 式の平衡定数 Ka は H2PO4 HsPO4,
OH-のモル濃度を用いて、
[H3PO4] [OH-1
K₁ =
A
[H2PO4]
と表される。」との値の比較から、この水溶液はウ性を示すことがわかる。
次に, 0.10mol/LのNa2HPO 水溶液の平衡について考える。 この塩も水中で完全に電離する。 ここで生じたHP
042 イオンに関しても、 (3) 式の平衡の他に次の平衡が存在する。
HPO42 + H2O HPO + OH-
(5)式の平衡定数は,
K5 =
[H2PO4][OH-]
[HPO2]
B
と表される。面との値の比較から,この水溶液はエ性を示すことがわかる。
(5)
さらに、この NaHPO4 水溶液の水素イオン濃度[H+] [mol/L] を表す式を導いてみよう。 そのために, (2) 式と(3)式
を組み合わせた次の平衡を考える。
2HPO H2PO4 + PO」-.
・(6)
(6)式の平衡定数は,次式で表される。
[H2PO4][PO4]
K6 =
C
[HPO42-J2
リン酸一水素塩の濃度が0.10mol/Lの場合, (3) (5) (6) 式のうち, (6) 式の平衡が最も大きく右方向に偏る。 また,
(3) 式と (5) 式の平衡定数を比較すると,前段の考察からオ式の平衡定数の方が十分に大きいため、もう一方の
式の平衡は無視できる。 したがって, [H+] を求めるためには,オ式と(6)式の2つの平衡を考慮すればよい。
オ式と(6)式の平衡反応によって消費される HPO4 イオンの濃度を、 それぞれ [mol/L] と [mol/L] とおくと、
HPOPOの各イオンのモル濃度は次のように表される。
H2PO4
[H2PO4] = I
[HPO42] = 0.10-x-y
[PO-] = II
ここでオ式と (6) 式の平衡定数は非常に小さいので, 0.10-x-y≒0.10 と近似できる。 よって, x, y, 平衡
定数を含む2つの関係式から,[H+] [mol/L] は,
[H+] = K2Ks+ D
と導かれる。
問4
問5
問6
ウオにあてはまる語句または数字を記入せよ。
I
II にあてはまる数式を, x, y を用いて記せ。
A~Dにあてはまる数式を K, K, K, Kw を用いて記せ。
7 0.10mol/LのNaH2PO4 水溶液10mL と 0.10mol/LのNa2HPO4 水溶液10mL を混合して緩衝液を調製した。
この緩衝液に関して、次の(i), (ii)の問に答えよ。 ただし、この緩衝液については、(2)式の電離平衡のみを考慮す
ればよい。 数値は有効数字2けたで答えよ。
(i) この緩衝液の水素イオン濃度 [mol/L] を求めよ。
この緩衝液に 0.10mol/Lの塩酸をpHが7.0になるまで加えた。加えた塩酸の体積 [mL] を求めよ。 また、この
値を用いて、塩酸の添加による水素イオン濃度の増加量 (AD [H+]) と塩化物イオン濃度の増加量(4[CI-I)の比
A[H+1
A[CI-]
を求めよ。 計算過程も含めて、解答欄の枠内で記せ。