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理由部分内容表現
六 五四三二 -
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随想
門外漢にも楽しめる「古語大鑑』 三浦しをん
各段落の内容
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シリーズは、
記載された事柄を読むと、物語が浮かびあがってきたり、ほかの言葉への連想や類推が働いたりす
る。そういう辞書が、私は好きだ。ひとつの言葉についての説明の背後に、歴史や物語を感じ取るこ
とができる辞書、とも言えるだろう。
●説明の背後に、歴史や物語までをもひそませることを可能にするのは、I、その辞書を作った
人々の学識や解釈や研究への真摯な姿勢によっている。つまり、辞書の使用者が、辞書に記載された5
事柄から物語を感知し、想像のツバザを広げるとき、同時に、辞書を作った人々の人生、研究に対す
る態度にも、深くガンメイを受け、想像力を働かせていることになる。ルシー
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「古語大鑑」も、私にとっては「読んで楽しい辞書」である。 もちろん、古典を研究するかたにとっ
ては実用性の高い、「使って役に立つ辞書」だろう。けれど、「序言」に記されたとおり、「研究者」と
「それを目標として修学中の若き学徒」を「直接の使用者として想定」している辞書であるため、「古
語大鑑」は専門性が高い。私のように、「研究」 と聞くと気を失ってしまいそうになる門外漢としては、
「古語大鑑」を積極的に使用する機会がまずないのだ。 古典籍を(しかも注釈なしの形で)読むことなど |3|
ほとんどないから、「古語大鑑』で引きたい言葉も、あまり思いつけないというわけだ。
しかし、じゃあ門外漢にとっては「古語大鑑」 はつまらないのか、というと、それはちがう。 ペー
ジをめくると、編集委員代表である築島裕氏の「序言」 「謝辞にかえて」、編集委員の白藤禮幸氏の「第1
一巻の刊行にあたって」という文章が並んでいる。 この三つの文章を読むだけで、「古語大鑑』にこめ
くやられた思い、編纂にタズサわったひとたちの情熱が感じられて、感激と感動がこみあげる。
へんさんハ
辞書は、無機質な書物ではないし、「役に立つこと」のみを念頭に編まれる書物でもない。先人たち
の長年にわたる研究、人生経験のすべてがつぎこまれた、後の世を生きるものに対する問いかけであ
る。「現段階での研究成果から、私たちはこれが正しいと考え、まだ解明できぬ点はここだと思うが、20
きみたちはどう考えるか。きみたちがこの辞書をもとに研究を深め、新たなる解釈、真実への道のり
をたゆまず歩んでくれることを願う。また、私たち自身も生あるかぎり、その道をゆくことを約束す
る」。 そういう思いが満載された、編纂者たちの人生を賭した問いかけなのである。
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●例示
結論
ある。
段落要旨]
本文中の語句で空欄を埋めよ。
話題
37
言葉の説明の背後に、歴史や物語
を感じ取れる辞書が好きだ。 その
とき、辞書を1人々の人生や
研究態度にも想像力を働かせてい
る。
3字
「古語大鑑」は2にとっても
「読んで楽しい辞書」だ。 編纂者
の情熱が感じられ、感激と感動が
こみあげる。
し
しです。
辞書は、先人たちの長年の研究や
人生経験がつぎこまれた、 3
を生きるものへの問いかけなので
3
》語注
問 本文中の空欄Ⅰにあてはまる語として最も適当 問五傍線部4の思いの説明として適当でないものを、
。
次から選べ
なものを、次から選べ。エツ3点
① まんまと ② ひとえに③ よもや
8点
①この辞書を手がかりに研究を深め、真実への道
のりを歩んでほしい。
*古典籍…近世およびそれ以前の
書
問二 傍線部はどのような辞書か。 次の空欄にあて
はまる内容を三十字以内で記せ。
記載された事柄を読むと、
②私たちが正しいと考えることや、まだ解明でき
9点
ないと思う点について考えてほしい。
③ この辞書に、先人たちの研究成果をふまえて私
たちが考えてきたことを注ぎ込んだ。
物で、評価の定まったもの。
加筆
などをして書物にまとめること。
*編纂・・・材料を集め、整理・
*人生を賭した・・・人生をかけた。
聞
か
■ような辞書。
父の言葉を
漢字問題
辞書を作り終えた今、私たちは若き学徒たちに
研究を託そうと思う。
波線部イ~ハのカタカナの部分
を漢字に直せ。
各点
ロ
問三傍線部2とあるが、ここでは「門外漢」はどの
ような人を指すか。 その説明として最も適当なも
次から選べ。
問傍線部Aのように言う筆者の考えとして最も適
当なものを、次から選べ。
9点
6点
① 古典の研究者を目指す人
① 辞書の存在意義は、日常生活に役立つことでは
なく、学問研究に役立つことにあり、そこにこそ
辞書を読む楽しさがある。
語彙問題もコ
② 古典を楽しんで読む人
波線部abの意味として適当
なものを次から選べ。
③ 古典の研究者ではない人
④ 古典の研究をする人
問四 傍線部3とあるが、こうした辞書のありようを
説明した次の文の空欄にあてはまる三字の語を、
本文中から抜き出して記せ。
が高いこと。
②編纂者をはじめ、先人たちの長年にわたる研究
人生経験のすべてがつぎこまれて編まれた辞書
は、読んでいて楽しい。
辞書に記載された事柄から歴史や物語を感じ取
楽しむことができるのは、その辞書を用いて学
問を深める人だけである。
自分にとって役に立たない辞書のほうが読んで
楽しいのは、内容とは無関係に想像を膨らませる
ことができるせいだ。
a 真摯な
①おおらかな
2 まじめな
まっとうな
b たゆまずに
① 心おきなく
2 あせらずに
③気をゆるめず
Wall
5
100字要約のすすめ
筆者が辞書について感じることや考えることを、百字以内でまとめてみよ
う。