エー
アイ
AIは哲学できるか
もりおか まさひろ
ありそう
うな
でない
森岡 正博
目標
人工知能(AI)の進歩はめざましい。囲碁や将棋の世界では、もう人間は人工知能に勝て
なくなってしまった。その波は、さらに広がっていくだろう。学者もその例外ではない。これ
まで学者たちが行ってきた研究が、人工知能によって置きかえられていく可能性もある。特に、
私が専門としている哲学の場合、考えることそれ自体が仕事内容の全てであるから、囲碁や将
棋と同じ運命をたどるかもしれない。この点を考えてみよう。
てつがく
●「哲学」など、筆者のあげている言葉
の内容を捉える。
●事例や主張が適切かを考えながら読む。
●文章の内容について検討したり、吟味
したりしながら筆者のものの見方や考
え方を捉え、自分の考えを述べる。
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カント
まず、過去の哲学者の思考パターンの発見は、人工知能の最も得意とするところである。例
えば人工知能に哲学者カントの全集を読み込ませ、そこからカントふうの思考パターンを発見
させ、それを用いて「人工知能カント」というアプリを作らせることはいずれ可能になるであカウモドイツの哲学者。
ろう。人間の研究者が「人工知能カント」に向かっていろいろ質問をして、その答えを分析す
ることがカント研究者の仕事になると私は予想する。この領域では人工知能と哲学者の幸福な
人工知能に過去の哲学
者になりきってもらい、今
の研究者が分析対象に
すること。
一七二四一八〇四
分析する
中予想する
領域