走れメロス
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文……といえども
「私には命のほかには何もない。その、たった||1e
躍り出る
「その、命が欲しいのだ。」
「さては、王の命令て、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
隊だちは、ものも言わず1斉に根怪を振り上げた。メロスはひょいと、体を折り曲げ、飛
鳥のごとく身近の一人に襲いかかり、その梶棒を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」
と猛然一撃、たちまち、三人を殺り例し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。
一気に峠を駆け降りたが、さすがに疲労し、おりから午後の灼熱の太陽がまともに、かっと
照ってきて、メロスは幾度となくめまいを感じ、これてはならぬ、と気を取り直しては、よろ
>図
しをvg0
Sv」
よろ二、三歩歩いて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上がることがてきぬのだ。天を仰い
て、梅し泣きに泣きだした。ああ、あ、濁流を泳ぎきり、山賊を三人も打ち倒し章駄天、ここ
; Pマ
章駄天
まで突破してきたメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れきって動けなくなるとは
情けない。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、
希代の不信の人間、まさしく王の思うつぼだぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、も
はや芋虫ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝転がった。身体疲労すれば、精神も
仏法の守護神。足が速
いということから、速く
走る者をたとえていう。
>葵
ともにやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いなふてくされた根性が、心の隅
こ絶くった。私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんもなかった。神も照覧、
弘は晴いつぱいに努めてきたのだ。動けなくなるまで走ってきたのだ。私は不信の徒てはない。
ああ、できることなら私の胸を断ち割って、真組の心臓をお目にかけたい。愛と信実の血液だ
文 さすがに
tて動いているこの心臓を見せてやりたい。けれとも私は、この大事な時に、精も根も尽きた
あだ。私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は欠を
に
咲いた。中途て倒れるのは、初めから何もしないのと同じことだ。ああ、もう、どうてもいい。
戦く