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6
名前
S
し
C
D
A
(20
E
B
100
新長文,漢字テスト ● 2年●
長文読解」
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
る
ーニー
平野町のおばあ様が来て、恐ろしい話をするのを姉娘のいちが立ち聞きをした晩のことである。桂屋の女房はいつも繰
「り言を言って泣いたあとで出る疲れが出て、ぐっすり寝入った。女房の両わきには、初五郎と、とくとが寝ている。初五
郎の隣には長太郎が寝ている。とくの隣にまつ、それに並んでいちが寝ている
しばらくたって、いちが何やらふとんの中でひとり言を言った。「(
ト
ごろう
に
ど
)」と、言ったようてある
まつがそれを聞きつけた。そして「ねえさん、まだ寝ないの。」と言った
「大きい声をおしてない。わたしいいことを考えたから。」いちはまずこう言って妹をセイしておいて、それから小声でこ
ういうことをささやいた。おとっさんはあさって殺されるのである。自分はそれを殺させぬようにすることができると思
う。どうするかというと、願い書というものを書いてお奉行様に出すのである。しかしただ殺さないておいてくださいと
言ったって、それてはきかれない。おとっさんを助けて、その代わりに私ども子供を殺してくださいと言って頼むのであ
6一
みな
る。それをお奉行様がきいてくだすって、おとっさんが助かれば、それていい。子供は本当に皆殺されるやら、わたしが
殺されて、小さい者は助かるやら、それはわからない。ただお願いをするとき、長太郎だけはいっしょに殺してくださら
ないように書いておく。あれはおとっさんの本当の子でないから、死ななくてもいい。それにおとっさんがこの家の跡を
とらせようと言っていらっしゃったのだから、殺されないほうがいいのである。いちは妹にそれだけのことを話した
」と、まつが言った。「
それごらん。まつさんはただわたしについてきて同じようにさえしていればいいのだよ。(
いちは起きて、手習いの清書をする半紙に、ひらがなて願書を書いた。父の命を助けて、その代わりに自分と妹のまつ
とく、弟の初五郎をおしおきにしていただきたい、実子てない長太郎だけはおユルしくださるようにというだけのことて
はあるが、どう書きつづっていいかわからぬのて、幾度も書きそこなって、清書のためにもらってあった白紙が残り少な
山 )」
になった。しかしとうとう一番鶏の鳴くころに願書がてきた。
りうが、
森陽外「最後の一句」より
=B~日のカタカナの部分は漢字で、漢字の読み方はひらがなで書きなさい。
F
【D-8E
(A)~(E )に入る会話を、それぞれ次から選び、記号で答えなさい。
アそんなら、おとっさんが助けてもらいたくないの。
[各55点]|
ィ でもこわいわねえ。
ェ ああ、そうしよう。きっとできるわ。
ウ それは助けてもらいたいわ。
オ わたしが今夜願い書を書いておいて、あしたの朝早く持っていきましょうね。
3 |0「恐ろしい話」とは、具体的にどういうことなのですか。その内容が書かれた部分を、文章中から十五
字以内で書きぬきなさい。
I2)
4 |@「いいこと」とは何ですか。中心になることを、文章中から三十字以上三十五字以内でぬき出し、初め
と終わりの五字ずつを書きなさい。
完答点]
「いち」は、姉娘らしく家や家族について冷静に考えています。その考えが書かれた二~三文の部分の、初めと
終わりの五字ずつを書きなさい(句読点もふくむ)。
[完誉6点】
この場面で、「いち」は、どんな少女として描かれていますか。次から選び、記号で答えなさい。
ア 父を助けたい一心で知恵を働かせ、自分の頭で考えて自ら積極的に行動しようとしているけなげな少女。
ィ 父を助けるためなら、自分だけでなく弟や妹を犠牲にしてもいいと考えて、人の命を粗末にしている少女。
ウ 願い書を書けば死罪になる父を救えるという不可能なことを実行に移そうとしている空想好きな少女。
ェ 自分の命よりも家や父母を大切にしなくてはならないという封建的な考えにとらわれている少女。