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③⑧③
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*たにかぜかちのすけ こずまう
関取谷風梶之助、小角力を供につれ日本橋本船町
若い力士
かつを
あたひ
を通りける時、鰹をかはんとしけるに価いと高かり
買おうとしたところ
高かった
ければ、供のものに「いひつけて、「まけよ」といは
ので
せて行き過ぎしを、魚売る男呼びとどめて、「関取の
呼びとめて
まけるといふはいむべきことなり」といひければ、
谷風立ちかへり「かへかへ」といひてかはせたるも
引き返して
をかしかりき。これは
b
a のまくるにあらず、
まけるのではなく
おもしろかった
の方をまけさすることなれば、さのみいむべきこと
まけさせることなので
それほど
にはあらざるを、「かへかへ」といひしはちとせき
焦った
こみしと見えたり。
*谷風梶之助=江戸時代後期の横綱。
*日本橋本船町=現在の東京都中央区日本橋の一部。当時魚市場
があった。
① 「いひつけ」と③「いひ」の主語として適切
なものを、次から一つずつ選びなさい。
ア 小角力
谷風
魚売る男 エ筆者