7| 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
情は杉子をほさんで強まっていく。大宮は野島の杉子への気持ちを察し、
外国へ旅立つ決心をする。
文学を志す主人公の野島には年上の友人である大宮がいた。二人の友一
その後大宮は外国にゆくのに忙しかった。
九月の末にはたつことにきまった。その日野島は横浜まで送ることにし
た。東京駅に大宮を送る人は五、六十人来ていた。
子の父も母も来ていた。武子は大宮の母について横浜までゆくことに
なっていた。ザッシ記者や、文士も見えていた。新聞記者も来て大宮と何か
話していた。しかし野島はそれらの人のことは気にならなかった。 彼の気に
なったのはもちろん同じく送りに来ていた杉子だった。杉子にしてはいつも
より厚く化粧していて、いつもより美しくは見えたが、無邪気には見えな
さみ
かった。そしてだれとも話をせずに一人淋しく立っていた。つつましく、だ
が何か考えているように、少しやせたのではないかと思った。
武子がそれに気がついて近づくとさすがに笑って見せた。大宮は野島に近
「僕は君の幸運を祈っているよ」大宮はそういきなり言った。彼は泣きた一
いような気がした
大宮も涙ぐんでいるように見えた。
ありがとう。君は身体を大事にしてくれないといけないよ」
「ありがとう。僕が向こうへ行っているうちに二人で来たまえ。旅費くらい、
どうでもするよ」
tそういけば」
野はそのさきは言えなかった。そこへ大宮の母が来て、野島にあいさつ