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12.短歌·俳句を読み味わう
次の俳句と鑑賞文を読んで、後の
心太煙のごとく沈みをり
花しだれ滝の音なきごとくあり
c 春昼の廊下のごとき電車かな
[鑑賞文]
直除を使ったものをいくつか引い
か。心太が「煙」に、枝垂桜が「L
たとえられていますが、みなさんに
ことはありませんか。それぞれ比称
も奇抜に思えますが、像としてはき
最後のは自分の句ですが、あると
いたら、ふと病院かなにかの廊下の
作者もおそらく、あれこれと比除を
なく、自分の目に忠実に、文字通)
のです
国*心太= テングサなどを煮とかして
3次の俳句を読んで、後の問いに答えなさい。
A天の川流るるままに戸を閉ざす
B 南北にとどきて阿蘇の天の川
うすうすとしかもさだかに天の川
D 夜半さめて眉の上なり天の川
かしわてい
*ところてんけむり
J
たき
S JS あき
伊藤通明
ろう か
4初MAJしお
清崎敏郎
みずはらしゅうおう し
水原秋標子
4 わ
4y 受
J に
四句とも「天の川」が季語だが、表す季節はいつか。漢字一
字で書きなさい。
ADの俳句の中から二句切れのものを一つ選び、記号で答
えなさい。
2
次の文章は、A~Dのどの俳句について述べたものか。一つ
選び、記号で答えなさい。
これもまた、「心頭に落とす」ということを少しもぜずに、受
け取った印象をそのまま表現している。ただ、ここに示された
表現がきわめて的確であるために、「天の川」というものは、ま
さしくこのようなものだと読者に感じさせる力がある。実際、
天の川というものは、くっきりとはせず、しかもちゃんと見え5
[く
E A~Cの俳句に詠まれた季節
さい。
るものなのである。こうした直覚的な的確な表現は、平生から
自分の感覚を大切に育ててきた結果として現れるものなのであ
る。
おお わ やすひろ
(大輪靖宏「俳句に生かす至言」より)
国*心頭に落とす = 松尾芭蕉の「心頭に落とすべからず。」(〔句作のとき
鑑賞文中の一
語で書き抜きなさい
一に当てはま
は一気に作れ。〕頭の中で思案にふけっていたりしてはならない)を
ふまえた言葉。あれこれ頭で考えること。