田 能基部士。
「大局観」、共著「人工知能の核心」など。
J
人工知能との未来 羽生 善治
出典本書のための書きおろし
人類はその長い歴史の中で、「高い知性をもっているの
は人間だけ」という環境を前拠として生きてきました。し
かし、今や「人工如能は人間を超える知性だ。」とか、逆
に「人間にはできるが人工知能にはできない。」などの、
さまざまな言説が飛び交う時代てす。人工知能が社会に浸一
透し始めた今、それに人間がどう向き合うかが課題となり
ば大きいほど有利て、マイナスに大きければ大きいほど不
利となります。この評価値は極めて有効に働くため、現在
はプロ棋士が参考にするようになっています。しかし、膨
大な情報をどのように処理してその結論に至ったのか、人」
間にはわからないのが現状です。社会が人工知能を受容し
ていく中で、意思決定の過程がブラックボックスになるこ
とには、多くの人が不安を覚えると思います。
もう一つ、将棋ソフトを使う棋士の間でいわれるのは、
人工知能には「恐怖心がない」ということです。人工知能
はただただ過去のデータを基に次の一手を選ぶため、人間
てあれば危険を察知して不安や違和感を覚えるような手で
も、 平然と指してきます。私たち棋士は、そこに恐怖を感
じるのです。これを、例えば人工知能ロボットに置き換え
ます。
興味深いのは、現在、人工知能を搭載した将棋ソフトと
人間の棋士との間で起きている事象が、今後の社会の在り
方を先取りしているように思えることです。そこで私は、
棋士が直面している違和感から話を始めたいと思います。
1つは、人工知能の思考は過程がプラッウボックスに
しい
なっていることてす。将棋ソフトは、過去の膨大なデータ
ジュ
を基に、目の前の局面が有利か不利かの形を判断する
てみると、どうでしょう。安心感や安定感など、人間が無
はれる感流を出します。 がブラスに大きけれ
意識に求める価値や倫理を共有していない相手と、安心し