せんだい
つだゆきお
僕のおじさんは「ぐうちゃん」という。津田由起夫三十八歳。いそうろう。
僕の母親の弟だ。いつも母に怒られている。学生の頃に外国のいろんな所を旅していた
らしく、気づいたときには僕の家に住み着いていた。そして、長いこと「ぐうたら」して
いるから、いつのまにか「ぐうちゃん」というあだ名になってしまった。でも、ぐうちゃ
んは変わった人で、そう言われるとなんだかうれしそうだ。それを見て僕の母はまた怒る。
怒るけど「これ、ぐうちゃんの好物。」なんて言いながら、ご飯の支度をしているから母
もちょっと変わっている。
僕の家は東京の西の郊外にあって、父の祖父が建てた。古い家だけれど、ぐうちゃんが
「いそうろう」できる六畳間があって、そこでぐうちゃんは「ぐうたら」している。父は
単身赴任で仙台にいて、週末に帰ってくる。ぐうちゃんがいると何か力仕事が必要になっ
たときに安心だから、と言って、父はぐうちゃんのいそうろうを歓迎しているみたいだ。
ぐうちゃんは、家にいるときはたいてい本を読んでいるか、唯一のタカラモノであるカ
メラの掃除、点検などをしている。全く「ぐうたら」ばかりでもなくて、たまに一週間ぐ
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