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めいしょう a~
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語順(言葉の順序)や構造(文法)が異なるということは、名称のちがいをはるかに越えて、
考え方の相違を、はっきりと示している。なぜなら、どんな民族も母国語
の筋道に従って思考するからだ。英語にしても、フランス語にしても、否
定詞は前にくる。だから、その語順でラルビーは「ナイ・トゥカレタ?」
ときいたのだ。それは彼の頭のなかで、何よりも、否定か肯定か、が、ま
っ先に問題になったことを意味している。
こうてい
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それに対して日本人は、まず「疲れる」という事態が浮かび、ついで、その事態が肯定である
か、否定であるかを問う、ということになろう。
もりもとてつろう
『日本人は言葉とどうつきあってきたか』 森本哲郎
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