【資料】
ある町の景観問題の例を考えてみよう。 そこの住民たちは自分たち
まちな
の町の町並みを気に入っていて、町並みは自分たちの生活の大事な側
面だと考えていた。そこにある鉄塔が建つことになった。 住民たちか
らすれば、明らかにそれは「自分たちの景観」を壊すものだった。単
に「好きな景観が壊れる」ということを超えて、自分たちの体の一部
が壊されるような感覚すらもった。住民たちは反対運動に立ち上がる。
もちろん景観を「所有」することはできない。しかし、ここには確実
に「私たちの景観」という意識が働いている。
こうした例は無数に考えることができる。たとえば、たまたま拾っ
た小石は自分のものか、家の玄関先に咲く花はその家の人のものか、
カフェで先に座った席は自分のものか、子どもは親のものか、自分の
体は自分のものか、などなど、「誰々のもの」の問題、「所有」の問題
はどこまでも広がりそうだ。
考えてみると、他人が存在しなければ「所有」も存在しない。こ
の世に自分しかいなければ、「所有」を主張する必要もない。つまり「所
有」は、あくまで人間と人間の関係である。
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(1) こうした例は無数に考えることができる とあるが、「こうした例」の説明として最も適当なものはどれか。 次のアからエまでの中から一つ選び、
その記号を記入しなさい。
自然環境をそこに住む住民の所有物と見なす例。
公共のものである景観を住民が所有しようとする例。
ウ 所有者の感情が法律をもくつがえそうとする例。
ものを所有するのは誰かを考えさせられる例。
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3.