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何の差別かある。かれこれ六十の銭を一つをも失はず、あに天下の利に
どうして天下の利にならないこと
三 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
あらずや」と爪はじきをして申しければ、難じて笑ひつるかたへの人び
があろうか
もR
ある時、この青砥左衛門、夜に入りて出仕しけるに、いつも火打ち袋
と、舌を振りてぞ感じける。
に入れて持ちたる銭を十文取りはづして、滑川へぞ落とし入れたりけ
取り出し損ねて、
(「太平記」による。)
(注1)火打ち袋
火打ち石などを入れておく袋。
るを、少事の物なりければ、よしさてもあれかしと行き過ぐべかりし
(注2)滑川 = 川の名前。
が、もつてのほかにあわてて、その 辺 の町屋へ人を走らかし、/銭五十
よしさてもあれかしと行き過ぐべかりしとあるが、筆者がこの
N.
文をもつて松明を十把買ひて下り、これを燃して、つひに十文の銭をぞ
ように考えた理由を現代の言葉を用いて二十五字以内で書きなさい。
求め得たりける。後日にこれを聞きて、「十文の銭を求めんとて、五十
つひに を、現代仮名遺いで書きなさい。
にて松明を買ひて燃したるは、小利大損かな」と笑ひければ、青砥左衛
小利大損とあるが、具体的にはどのようなことを意味していま
門眉をひそめて、「さればこそ御辺たちは愚かにて、世の費えも知らず、
すか。次のア~エの中から最も適切なものを選び、その記号を書きな
民を恵む心なき人なれ。銭十文はただ今求めずば、滑川の底に沈みで
ア 五十文の銭を探すために十文の損をしてしまったこと。
イ落とした銭を探すために四十文も損をしてしまったこと。
ウ商人にだまされて五十文という高値で松明を買ったこと
ェ十の銭を借しんで出仕に遅れたため出世を逃したこと
永く失せぬべし。それがしが松明を買はせつる五十の銭は、商人の家に
とどまって、永く失すべからず。わが損は商人の利なり。かれとわれと