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6点、問二 6点×3、問三 2点、問四 6点〉
[文学的文章(随筆)]
次の文章を読んで、後の各問に答えなさい。(字数は句読点なども一字に数えます。)
梅は徳のある木で、百樹中の聖賢と言いつべきか。
指折り数えてみれば、八徳()あるを知る。
一、衆樹に魁て咲き、目を楽しませる。
二、芳香、能く鼻を楽しませる。
三、風姿美しく、庭を飾るに宜し
た。これがまた毎年堂々とした実をつけて、大いに恩恵を被った。
やがて、若かった私たち夫婦は、すでに老いた母に代わって、こ
の梅を採り、三分の一は梅酒に、三分の一は梅シロップに、そして残一
りの三分の一は梅干に、と夜なべにその「梅仕事」をしたものだった
無農薬で育てていたので、どうしてもいくらかはアブラムシなど」
が付き、そのせいで青梅に黒い汚れが付く。別段売り物にするわけ」
ではないから、私たちはその黒い汚れもまた安全な実の証拠だと割
り切って、ただひたすらゴシゴシ洗って掃除をして、それからあれ
(事 サ入 ) キ
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に
四、驚鳥哨々、耳を楽しませる。(が )
五、実り豊かに、口を楽しませる。
六、梅干となりては、体を養う。
七、魚と共に煮る時は、その毒を消して曜さを去る。
ャ
「S
これと調理をしたのだった。
大きな桶に山盛りになるほど採れた時は、ざあざあと水道の流し
水の下で、一つ一つ手に取ってタワシでこすってやる。八方隈無く
洗い上げて、それをざるに取って、さてそれからがまた一仕事なの一
八、核仁()また良薬にして煩熱を除き目を明らかにす。〈中略)〉
トれへ
枕草子」にも、「木の花は 濃きも薄きも紅梅」という有名な
一節があって、古くは日本でも花といえばまず梅の花に指を屈した一
ものだったのだが、それがいつの間にか桜に取って代わられてし
まった観がある。
しかし、考えてみれば、上記の通りの梅の徳は、どれひとつとし
て桜にはないもので、ただ一時の満開と散華のみを賞記する桜より
も、もっと身近でもっと有益な梅をこそ愛した往古の日本人の思い
はよく分かる気がする。〈中略〉
へる
だった。
梅シロップは、誰でも簡単にできるけれど、ただ美味しく作ろう
と思うと、ちょっと手間がかかる。簡単には竹串などで皮にプツプ
ツと穴を開けるだけでもいいのだけれど、経験的には、一つ一つ薄
く皮を剃いて作ったほうが雑味がなく、またより早くシロップを得」
ることができる。
そこで、私たちは、山になった梅をテーブルの真ん中に置いて、
夫婦二人でせっせと皮を剃いた。なに、その制いた皮だって、捨て
「 は
に
昔、今の家に移り住む前の家には、白加賀という品種の、立派な一
梅の木があった。これがたいした世話もしないのに、毎年びっくり
ずに砂糖漬けにしてしまうのだ。
まったく文字通りの夜なべ仕事で梅を劉きながら、私たちはなに
くれとなくお喋りをして、それも今思えば楽しい梅仕事のうちで一
あった。
するほど大きな実をたわわに付けて私たちを喜ばせた。それで、そ
のたっぷりした実を収穫しては、亡き母はいつも梅干を潰けた。
ところが、同じ市内でも数キロ離れた今の家居(すまい)の地に
移って来たときに、この白加賀を連れて来ることができなかったので、
代わりにやはり大きな実を付ける豊後梅という淡い色の紅梅を植え一
「 は4 でに
(林望「旬菜膳語」による。)
#本」上段の衆樹に魁て咲き は「多くの木より早く咲いて」という意味です。「衆樹」に似た熟語であって「すべての木」という意」
味で筆者が使っている言葉を、二字で本文中からそのまま抜き出して書きなさい。
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思考 上段の 古くは日本でも花といえばまず梅の花に指を屈したものだったのだが、それがいつの間にか桜に取って代わられてしまっ
た観がある に関連して、桜(ソメイヨシノ)と梅の次の資料につぃて、後の日~回に答えなさい。
桜(ソメイヨシノ)|桜の花は香りがほとんど【x ]。福岡の桜は、開花の平年値が三月二十三日で、満開の平年値が四月一日である。
梅の花はよい香りが【Y]。福岡の梅は、開花の平年値が二月二日である。
S 4 Pマ州えシ
太宰府天満宮では、平年の梅の花の見ごろは、二月上旬から三月上旬である。
E 【x]·【Y一に入る最も適当な平仮名二字を、本文を参考に考えて書きなさい。ただし、【X]と【Y]は、対になる言葉です。
a 資料中の桜と梅を比べたときの特徴の違いを参考にして、本文中で筆者が桜について残分に思う気持ちをこめて表現した言葉を、十八字|
で本文中から探し、初めの五字を書きなさい。
S
思考下段の まったく文字通りの夜なべ仕事で梅を剃きながら、私たちはなにくれとなくお喋りをして について、「私たち」が「夜
なべ仕事で梅を剣」くことにした理由を、四十五字以上五十字以下で本文中の言葉を使って書きなさい。
問四 思考一上段の 濃きも薄きも紅梅 の意味を、「濃いのも薄いのも紅梅が
ど降るもをかし。」「いみじうをかし。」·「走りあがりたる、いとをかし。」)」に相当する
現代語を、五字または六字で考えて書きなさい。
と訳すとき、
に入る「をかし(例「雨な一
国語入試実戦問題 4