次の文 (A・B) を読んで、設問の答えを記せ。
A. 発生の機構については,かつていろいろな考え方があった。 たとえば,
卵割の進行にともなって,受精卵のもっている遺伝の情報が,それぞれの
割球に細分されて分配される結果, 表皮に関する情報をもった細胞は表皮を
形成し, 神経に関する情報を分配された細胞は神経細胞に分化するようにな
ると考えられたこともある。また, b親から受け継がれた遺伝の情報のうち,
分化にともなって不必要となったものはすて去られていくという考えもあ
った。しかし、現在では分化した細胞の核にも受精卵の核と同じ遺伝の情
報が含まれており,分化の根底には遺伝子の活性の調節があると考えられて
いる。
問1
両生類の初期原腸胚の外胚葉域の一部を互いに交換移植する実験を例
にとって, 下線Aの仮説が成り立たない理由を説明せよ。
問2 カエルの発生で, 下線Bの仮説はどのような実験で否定することができ
るか、分化した細胞ということに留意して述べよ。
問3 下線Cの考えは具体的にはどのように考えることができるか。
B. 両生類の卵では, 精子侵入後10分ほどすると, 色素をもった皮層の細胞
質部分が回転を始め, 侵入点の反対側にそれまでみられなかった三日月形の
模様 (これを灰色三日月環とよぶ) があらわれてくる。 この部域がどのよう
な機能を有しているかということは,発生の機構を考えるにあたって きわ
めて重要な示唆を与えてくれる。