基礎問
242 第9章 整数の性質
145 整数の余りによる分類
a+b=c をみたす自然数a,b,c について、次の問いに答えよ。
① 自然数a,b,cのうち、少なくとも1つは偶数であることを
示せ.
(2) 自然数a,b,cのうち、少なくとも1つは3の倍数であるこ
とを示せ.
(1) (a,b,c) の組をそれぞれが偶数か奇数かで分けると
2×2×2=8 (通り) ありますが、問題では,そのうちの 「α, b, c
はすべて奇数」は起こらないことを示してほしいといっています。
このようなとき、背理法 (24) が有効です。そのまま考えると示さなけれ
ばならないこと (結論)は7つの場合ですが, 否定すれば1つの場合しかな
いからです. これは、 確率の余事象の考え方と同じです。
(2)原則的には(1)と同じですが 「少なくとも1つは3の倍数」を否定すると,
「すべて3の倍数でない」 となり、3の倍数でないことを式で表現する部分
(1) より難しくなります.
3でわった余りが 0 12 (144) の3つなので3n, 3n+1,3n+2と3
つに分けて考えますが,ここでは,必要なものが2乗なので 「2余る=1足
らない」と考えて3n, 3n±1 とおいた方が計算がラクになります.
精講
解答
(1) α, b,cがすべて奇数とすると,
a', b, c'もすべて奇数だから +6は偶数(奇数)=奇数
これは,α'+b2=c2 であることに矛盾する.
以上のことより, a, b, c がすべて奇数ということはない.
すなわち, a,b,cのうち少なくとも1つは偶数である.
(2) α, b,cがすべて3の倍数でないとすると,
すべて 3n±1 の形で表せる.
(3n±1)2=9m²±6n+1
1560=3(3n²±2n)+1
だからa,b2, c2 はすべて3でわると1余る.
よって,'+b2は3でわると2余り, c2は3でわると1余る。
これは、a2+b2=c2 であることに矛盾する..
以上のことより, a b c がすべて3の倍数でないということはあ
りえない.
すなわち, a,b,cのうち少なくとも1つは3の倍数である.
注 3n-1 (3でわると1足らない ) の代わりに
3n+2 (3でわると2余る) を使っても,
(3n+2)2=9n²+12n+4
=3(3m²+4n+1+1 となり,やはり
3でわると1余ることが示せます。
参考
(2), 「すべての整数が3n, 3n+1,3n+2 の形のどれか」であるこ
とを利用して解答をつくりましたが,このように整数を「カでわっ
余りに着目して分類」したものを剰余系といいます。これを利用
すると、無限個ある整数で議論しなければならないはずなのに、 たった3つの
場合を調べればすむので,とても有効な考え方です.
たとえば、4でわった余りに着目すると,すべての整数がと!
4n+i (i=0, 1, 2, 3)
243
せます
演習問題 145 (1) では, a=2n+i (i=0, 1) とおくとうまく証明できます.
ポイント
演習問題 145
整数でわった余りを利用して
n=pm+r(r=0, 1, ..., 1) と表せる
1462
(1) 整数αを2乗して4でわるとわりきれるか1余るかのどちら
かであることを示せ .
(2) 2次方程式 2-4x-2m=0 (m: 整数) が整数解αをもつと
き
.
は偶数であることを示せ