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0.2mol/L の酢酸であれば、中和に必要な 0.1mol/L の水酸化カリウムの体積は酢酸の2倍になります。同体積で混合したなら、水酸化カリウムが足りず、中和が完了しないので、pHは中和点のpHより小さくなります。その度合いによっては酸性になります。
同じ濃度の酢酸と水酸化カリウムなら、酢酸を中和するのに、同じ体積の水酸化カリウムが必要です。
酢酸のみを増やすと、水酸化カリウムが足りず、中和が完了しないので、pHは中和点のpHより小さくなります。その度合いによっては酸性になります。
酢酸も水酸化カリウムも1価なので、同濃度・同体積を混合するとちょうど中和が完了します(中和点に達します)。
ちょうど中和が完了すると、この溶液は、酢酸カリウム水溶液になっていますよね。
正塩の水溶液の液性は、もとの酸・塩基を比べて強いほうに偏りますから、酢酸カリウム水溶液は塩基性です。
したがって、酢酸と水酸化カリウムをちょうど中和したものの液性は、塩基性です。中性ではないです。
なるほどです…!
中和は強弱でなく価数によって同濃度、同体積が決まり、その中和出てきた塩の性質を確かめようとすると元の強弱が関係してくるということでしょうか!?
長文にて失礼します。
>中和は強弱でなく価数によって同濃度、同体積が決まり
ちょっと意味がよくわかりません、、
中和は、同濃度・同体積である必要はありません。
含まれる H⁺ と OH⁻ の物質量が大切です。
H⁺ と OH⁻ の物質量が等しくなれば、ちょうど中和が完了します。
中和とはなにかを理解していますか?
酸も塩基も水溶液中で電離して、それぞれ H⁺ と OH⁻ を出します。
これらの酸と塩基を混合すると、H⁺ と OH⁻ が反応して H₂O になります。
この、「H⁺ と OH⁻ が反応して H₂O ができる」ことを、中和反応と呼びます。
価数とは、1つの酸(または塩基)から、H⁺ (または OH⁻)が何個出てくるかを表します。
以下では中和反応の例を挙げます。
[酢酸と水酸化カリウムの中和]
酢酸は1価の酸ですり
CH₃COOH 1つが H⁺ 1つを出します。
CH₃COOH → CH₃COO⁻ + H⁺
水酸化カリウムは1価の塩基です。
KOH 1つが OH⁻ 1つを出します。
KOH → K⁺ + OH⁻
この2者を足し合わせると、
CH₃COOH + KOH
→ CH₃COO⁻ + K⁺ + H⁺ + OH⁻
→ CH₃COOK + H₂O
となります。
1つの酢酸を中和するには、その酢酸が出す1つの H⁺ を反応させて H₂O にする必要があるので、OH⁻ を1つ出してくれる、1つの水酸化カリウムが必要です。
したがって、x mol の酢酸を中和するには、x molの水酸化カリウムが必要になります。
具体的な数値で考えてみます。
濃度が 0.20mol/L の酢酸水溶液を 100ml 用意したとすると、そこには 0.020mol の酢酸が含まれているので、中和には 0.020mol の水酸化カリウムが必要です。
このとき、濃度が 0.10mol/L の水酸化カリウム水溶液を用意したとします。この水溶液が 200ml あれば、そこに 0.020mol の水酸化カリウムが含まれますよね。
よって、0.20mol/L の酢酸水溶液 100ml を完全に中和するためには、0.10mol/L の水酸化カリウム水溶液ならば 200ml 必要です。
そして、中和の結果できた塩の水溶液は、弱酸と強塩基の塩なので、塩基性です。
[塩の水溶液の液性の判断は、正塩のときはもとの酸と塩基の強弱で判断できます。しかし、酸性塩(化学式に H が残っているもの。NaHSO₄など。)は、強弱では単純に判断できないので、暗記します。]
もうひとつ例を挙げておきます。
[酢酸と水酸化カルシウムの中和]
酢酸の電離式は前述の通り。
水酸化カルシウムは2価の塩基です。
Ca(OH)₂ 1つが OH⁻ を2つ出します。
Ca(OH)₂ → Ca²⁺ + 2OH⁻
つまり、x mol の水酸化カルシウムからは 2x mol のOH⁻ が出てきます。よって、x/2 mol の水酸化カルシウムがあれば、x mol の酢酸を中和することができるのです。
中和の反応式は、
2CH₃COOH + Ca(OH)₂
→ 2CH₃COO⁻ + Ca²⁺ + 2H⁺ + 2OH⁻
→ (CH₃COO)₂Ca + 2H₂O
となります。
先程と同じく、濃度が 0.20mol/L の酢酸水溶液を 100ml 用意したとすると、そこには 0.020mol の酢酸が含まれているので、中和には 0.020mol の OH⁻ が必要です。したがって水酸化カルシウムは 0.010mol 必要です。
このとき、濃度 0.10mol/L の水酸化カルシウム水溶液を用意したなら、何ml 必要でしょうか。
100ml ですよね。
よって、0.20mol/L の酢酸水溶液 100ml を完全に中和するためには、0.10mol/L の水酸化カルシウム水溶液ならば 100ml 必要です。
そして、中和の結果できた塩の水溶液は、こちらも弱酸と強塩基の塩なので、塩基性です。
酸性塩について一応補足。
化学式に H が残っているものと言っても、NH₄Cl みたいなのは違いますよ。
イオンに分けた時に、H⁺ が出てくるものです。
酸性塩の水溶液の液性は、問われるものが限られています。以下のものは覚えておきましょう。
[水溶液が酸性の酸性塩]
硫酸水素ナトリウム NaHSO₄
リン酸二水素ナトリウム NaH₂PO₄
[水溶液が塩基性の酸性塩]
炭酸水素ナトリウム NaHCO₃
リン酸水素二ナトリウム Na₂HPO₄
ご丁寧な解説ありがとうございました🙇
補足して下さった、水溶液が酸性の酸性塩と塩基性の酸性塩の見分け方はどういったものでしょうか?
何度もすみません。宜しければ教えて頂きたいです。
返信遅くなりましてすみません。
酸性塩の液性の調べ方については、高校の範囲をちょっと超えています。
単純に判断できませんので、暗記しておいたほうが無難かと思います。
NaHCO₃ に関しては、弱酸と強塩基の塩だから塩基性、と覚えてもいいと思います。
NaHSO₄ は、強酸と強塩基の塩と考えると中性になりそうですが、酸性です。
硫酸の要素強そうな気がする、みたいなイメージで覚えたらどうでしょうか。
特にわかりにくいのがリン酸塩ですね。
NaH₂PO₄ なんかは、弱酸と強塩基の塩なのに、液性は酸性です。
リン酸は弱酸だけど、この塩には H が多く含まれているし、なんとなく酸の成分の方が勝ちそう、みたいなイメージで覚えたらどうでしょう。
一方で、Na₂HPO₄ は塩基性です。H はあるけど、NaH₂PO₄ と比べて数が減り、酸の成分が弱くなってる気がするから塩基性になりそう、みたいなイメージで覚えたらどうでしょう。
あくまで覚える時のイメージですが。
この4つだけでいいので暗記しましょう。
もう少し論理的に言うと、
NaHSO₄ や NaH₂PO₄ は、まだ H⁺ を出す能力があるために水溶液は酸性になり、NaHCO₃ や Na₂HPO₄ は、それ以上 H⁺ を出す能力がないため塩基の成分が勝つ、という感じです。
実際の仕組みとしては、「化学平衡」の考え方が必要になります。
平衡とは、可逆反応において、化学式の左から右の反応と、右から左の反応が、一定程度で均衡を保っている状態です。
見かけ上、反応が止まって見えます。
電離の反応で言うと、電離する分子と元に戻るイオンの数がそのうち一緒になり、完全に全部は電離しません。
化学平衡は基礎じゃない高校化学でやります。
まぁ平衡については今はあんまり考えなくていいです。
噛み砕いて説明しますが、長くなります。
(自分も高校化学までしか授業は受けてないわけで、以下で述べる酸性塩の液性の判断については、自分でネットなどで調べて、自分の中ではこう理解している、というものになります。正確かは正直わかりませんので、だいたいこんな感じなんだなぁと思って読んでください。)
そもそも強酸や強塩基というのはどういうものか。
強酸は、H⁺ を自ら進んで放出しまくる酸で、強塩基は、OH⁻ を自ら進んで放出しまくる塩基です。
弱酸や弱塩基は、H⁺ や OH⁻ をあまり手放そうとせず、一緒に仲良ししてます(※イメージです)。
多価の酸や塩基では、電離に段階があり、各段階で、電離のしやすさが違います。
2段階目や3段階目の電離は、1段階目に比べて起きにくいです。
弱酸や弱塩基では、1段階目の電離からすでに起きにくいです。
例えば硫酸の H⁺ の電離は、次の2段階です。
H₂SO₄ → H⁺ + HSO₄⁻
HSO₄⁻ → H⁺ + SO₄²⁻
1段階目の電離はめちゃめちゃ起こりやすいです(だから硫酸は強酸)。
2段階目は1段階目に比べて起こりにくいですが、言うても強酸なので、結構起きます。
したがって、NaHSO₄ の水溶液では、
NaHSO₄ → Na⁺ + SO₄²⁻ + H⁺
このように、H⁺ の電離が結構起きますから、液性は酸性になります。
H₂SO₄ を NaOH で中和すると、NaHSO₄ ができ、Na₂SO₄ もそこそこできます。
ここにさらに NaOH を加えていくと、全てが Na₂SO₄ になるまで中和反応が起きます。
一方、炭酸の H⁺ の電離では、
H₂CO₃ → H⁺ + HCO₃⁻
HCO₃⁻ → H⁺ + CO₃²⁻
という2段階があります。
炭酸では、1段階目ですらあまり起きません(だから炭酸は弱酸)。
あまり起きないのは、大半の HCO₃⁻ が水と反応し、次の式のように加水分解するためです(弱酸・弱塩基のイオンは、同様にいずれも加水分解しやすい)。
HCO₃⁻ + H₂O → H₂CO₃ + OH⁻
よって、NaHCO₃ の水溶液では、
NaHCO₃ → Na⁺ + H₂CO₃ + OH⁻
このように、OH⁻ の電離のほうが起きやすく、液性は塩基性になります。
2段階目はさらに起きにくいです。
そのため、Na₂CO₃ にするには、もっと OH⁻ を増やして、NaHCO₃ から H⁺ を奪い取るくらいの勢いがないといけません。
NaOH をもっと加えて、塩基性を強くする(OH⁻ を増やし、pHを上げる)と、やっと2段階目も起きるようになります。
そして、リン酸の H⁺ の電離は3段階です。
H₃PO₄ → H⁺ + H₂PO₄⁻
H₂PO₄⁻ → H⁺ + HPO₄²⁻
HPO₄²⁻ → H⁺ + PO₄³⁻
リン酸は、弱酸に分類されますが、どちらかというと、"強酸ではない"酸です。
リン酸の1段階目の電離は、強酸に匹敵するくらいよく起きます。
ということは、HCO₃⁻ の加水分解のように H₂PO₄⁻ の加水分解で OH⁻ を電離するよりも、2段階目の H⁺ の電離のほうがよく起きます。
よって、NaH₂PO₄ の水溶液では、
NaH₂PO₄ → Na⁺ + HPO₄²⁻ + H⁺
このように、H⁺ の電離がそこそこ起きるので、液性は酸性になります。
しかし、HPO₄²⁻ の加水分解はそこそこ起き、3段階目の H⁺ の電離はほとんど起きません。
よって、Na₂HPO₄ の水溶液では、
Na₂HPO₄ → Na⁺ + H₂PO₄⁻ + OH⁻
このように、OH⁻ の電離のほうが起きやすく、液性は塩基性になります。
なるほどです、!何度もご丁寧に解説して下さり本当にありがとうございました🙇
ご回答ありがとうございます。
酢酸は弱酸、水酸化カリウムは強塩基ですが、同じ濃度と体積であれば中性になり、つまり酸や塩基の強弱は関係ないということでしょうか?