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生物という科目について
理科の中で、生物がどのような特徴があるのかを理解することは重要です。
この部分をおろそかにすると、誤った戦略を立ててしまい効率が下がってしまいます。
①暗記科目としての生物
以前書いた物理、化学の記事にもあったように、高校理科における生物の学習は物理、化学の内容に比べて極端に暗記する量が多くなっています。
物理 2
化学 6
生物 10
物理の問題が一つの知識・暗記事項の応用で5問解けるのに対して、生物では5つの問題に対して5つの異なった独立した知識が必要となります。
知識が独立しているというのが特徴でもあり、それが暗記量を増やしていると言っても過言ではないでしょう。つまり、生物という科目を攻略するにあたって、暗記から逃れるのは難しく、だからこそどのように暗記していくかが重要になります。
②断片的に学習できる
物理、化学が系統性が分かりやすいのに対して、生物は分野ごとに独立しているイメージが強いです。
化学の記事でもふれたように、化学では原子モデルやイオン化エネルギーといった基礎化学という土台の上に、理論化学、無機化学、有機化学へと分岐が見られます。理論化学も土台よりかも知れませんが。これを言い換えてみれば、基礎・理論化学という土台があるからこそ無機・有機化学といった分野に踏み入ることができるということです。
一方で生物の内容は分野ごとの独立性が強くみられます。正確には大学での研究レベルにおいて、各分野が密接に関係し、様々な分野からのアプローチで同じ事象を見ることは多々あるそうです。
しかし、高校での、特に入試科目としての生物においてはそのような関連性を感じられることはほとんどないと言ってもよいでしょう。
現行指導要領における「生物基礎」の内容を見てみます。
(1)生物と遺伝子
(2)生物の体内環境の維持
(3)生物の多様性と生態系
もう少し噛み砕いて言うと
(1)で細胞の中の小さなミクロスケールの話
(2)で自分自身の体内で起こってるちょっと身近な話
(3)で世界の植物の形や地球における物質の流れなど、大きなマクロスケールの話
を学ぶことになります。
このように各分野で大きく毛並みの異なった内容になっています。これらを一つ一つ、片っ端から頭に叩き込んでいく必要があります。これはかなり根気がいります。
しかし独立性が強いということは逆に、断片的に、どこからでも学習できるということでもあります。
例えば、NHKの「ダーウィンが来た!」などの番組が好きな人は多くいると思います(僕も毎週見てます!)。そういった方には(3)の生態学的な内容から入ると、普通の読み物のように感じられて面白いかもしれません。
(2)も自分自身の体のことだと思うととても興味がわく内容になります。たとえば、なぜ汗をかくのか、人の体温はなぜ36℃前後を保てるのか、インフルエンザの予防接種はどういった仕組みなのか。
どうしても生物の暗記のイメージが受け付けないという人は、このように自分の興味のある内容から、気軽に読み始めると良いです。その方が勉強が続きますしね。
③定着度に個人差
定着度に個人差があるのは生物に限った話ではないかもしれません。しかし生物においては絶対的な知識量がものを言うだけに定着度に大きな差が出ると思います。また、上でも述べたように、暗記的な内容が多いだけに、如何にその内容に興味を持ち、面白く思えるかが定着度に関わってくるでしょう。
実際、僕の周りには、内容が面白くて授業を一度聞いただけで大体覚えてしまうという友達もいれば、物理は覚えることが少なくて簡単だけど、生物は覚えることが多すぎて無理だ、と言ってセンター試験数か月前に物理利用に切り替えた文系の友達もいました。
④文系受験生のセンター試験での利用
文系の受験生がセンター試験で理科の科目の受験が必要となる場合、その多くが生物を利用することと思います。僕の高校でも文系のほとんどの人が、否応がなく生物の勉強をしていました。
文系の受験生が生物を多く利用するのは、入試における生物が、社会科系と似た特徴を持っているためだと思われます。
世界史、日本史、公民、地理といった社会系科目、特に世界史、日本史における暗記量は理科系科目の比ではないと思います。生物の学習はこういった社会系科目の特徴に似通っているため、文系の受験生としては物理、化学よりかは抵抗なく学ぶことができるのではないでしょうか。
⑤レベルが上がるほど応用的に
生物に限った話ではないですが、“基礎生物”よりも断然“生物(以下“専門生物”と呼ぶ)”が、センター試験レベルよりも旧帝大・難関私立レベルが難しくなります。問題はそのギャップの大きさです。
正直、専門生物のウエイトの重さは基礎生物の比ではありません。現行指導要領になり、旧指導要領の物Ⅰ・Ⅱと比べて、その差は顕著になったと思います。
これが東大・京大受験レベルになると、僕のような凡才レベルではもはや終わりが見えません。どこまで学習しなければいけないのやら。
ただでさえ高度な内容が取り上げられているだけでなく、更に指導要領自体も日々更新される最先端の内容が取り上げられるようになっており、時事的なサイエンストピックにも精通していなければなりません。
iPS細胞などの再生医療の分野はその最もたるものでしょう。大学の二次試験の内容はその大学の教授が作成します。明らかに教科書レベルでは太刀打ちできないようなものばかりで、大学での理科がそうであるように二次試験の内容では、高校で習う生物の分野をまたいで化学や物理、地学の知識が必要となる場合が多々あります。
これらの内容は、もはや難関大対策用の参考書を制覇し、過去問などで難問に解きなれているかが重要だと思います。あとは以下に日常的に授業の枠を超えて、理科の知見を深められているかが鍵かもしれません。
暗記の仕方
ここまで生物=暗記というような内容ばかり書いてきましたが、このまま伝わってしまうのはあまりにも心苦しいので弁明すると、生物学の本質は暗記などではありません。あくまで入試における“生物”という科目の特徴がそうなっていしまっているだけなのです。
また“暗記”という表現もあまり適切ではないのかもしれません。例えば、遺伝子の正体がDNAであることが証明されるまで、「①グリフィスの実験」で形質転換という事象が示され、「②エイブリ―の実験」で形質転換を起こす物質がDNAであることが示され、「③ハーシーとチェイスの実験」で遺伝子の正体がDNAであることが示唆されるという流れで学ぶことになります。
この「実験」とその結果を覚えることはいわゆる暗記に他なりません。しかし、生物において重要なのは、こうした事実の暗記ではなく、その実験においてどのような操作を行ったことによってその結果が示唆されたのかということを“理解”することです。
例えば「③ハーシーとチェイスの実験」ではファージのタンパク質の硫黄原子とDNAのリン原子に放射性同位体で標識することで遺伝子の正体を突き止めました。これは“暗記”ではなく論理性が含まれる“理解”の要素が多く含まれています。
そして、このような“暗記事項”と“理解事項”は互いに関係しあって、学習を促進します。論理的に理解することで何を暗記すべきなのかが明確になるし、暗記しているからこそ論理的な思考が導き出されます。
生物の学習のカギとなるのは
①“暗記事項” “理解事項”≒膨大な“暗記”
とするか、
②必要最低限の“暗記事項”→“暗記事項”を利用して“理解”を深める
とするかにかかっていると思います。
自然と生物の内容に興味を持ち、面白く感じれる人は後者ができているのでしょう。基本的な暗記事項を覚えるだけで、関連事項を論理的に理解することができているはずです。そのような人は一度、生物基礎の範囲の授業を一通り受けただけで、センター試験程度の問題を8割程度取れてしまうのではないでしょうか。
学習の流れ
物理や化学では推奨しませんが、生物ではまず教科書を読むことを薦めます。じっくり読むのではなく、一度パラパラと読んでみてください。
教科書は入試に用いるにあたっては、掲載されている知識量は不足していますが、全体が文章として構成されているので読み物として活用することができます。細かいところまで理解しなくていいですし、単語を全て暗記する必要もありません。何となくこの分野ではこんな単語が登場して、どんな話の流れになっているのか感じ取れる程度でいいです。
次に市販の入門書を始めてみましょう。一度授業を聞いて、大体の流れをつかんでいる人はここから始めてもオッケーです。
参考書の利用と流れのまとめ
①教科書(完全独学レベル、メチャクチャ苦手だけど何とかしたいって人はここからがオススメ)
何となく読んで流れを感じる。
②入門書(大体の人はここからがオススメ)
手を動かし図やイラストを描きながら熟読する。二回目に読んで定着が感じられたら次のステージへ。
これは生物における持論ですが、物理、化学に比べてこの段階の重要性が高いと思います。覚えることが多い生物において、自分の中で学習事項が体系化できていない限り、問題演習に取り組んでも意味がありません。問題演習に取り組み、その時は覚えていても、1周周って来たときには忘れてしまっています。
③問題集
基礎的な問題を幅広く扱っているものを繰り返し行う。ミスが目立つ分野があれば、入門書に戻って確認する。
すっっっっっっごい長い文を失礼しました。
でも、これはセンター9割とる勉強法なのでやって損はないと思いますよ!
本当にありがとうございます!
暗記だけでなく、理解の部分を増やしていきたいと思います!
回答ありがとうございました!