現代文
高校生

鷲田清一さんの思考の肺活量の問題で教科書の下の部分の答えを教えていただきたいです。『思わくを測』るとはどういうことか?というのと『論理にくるんでしま』うとは、どういうことか?という問題がわかりません。

「これは何ですか?」と問われるといつも、「これはこれです」と答えるのだと言 う。そういう意味では、暖味なものを暖味なままに正確に表現する、一か所もゆ るがせにしないで、正確に、これしかないという表現へともたらすこと、これが 画家の力量である。 このように、政治、ケア、描画のいずれにおいても最もだいじなことは、分, らないもの、正解がないものに、分からないまま、正解がないまま、いかに正確 に処するかということである。そういう頭の使い方をしなければならないのが私 たちのリアルな社会であるのに、多くの人はそれとは反対方向に殺到する。分か りやすい言葉、分かりやすい説明を求めるのだ。だが本当にだいじなことは、恐 難な問題に直面した時に、すぐに結論を出さないで、問題が自分の中で立体的に" 見えてくるまでいわば潜水し続けるということである。知性に肺活量を付けると いうのはそういうことである。目の前にある二者択一、あるいは二項対立にさら ?「外へ出る」とは、ど ういうことか され続けること、対立を前にして考え込み、考えに考えてやがてその外へ出るこ」 o ④超勢 ある方向へと動 それが思考の原型なのに、 そうした対立をあらかじめ削除しておく、ならし 「論理にくるんでし ま」うとは、どういう」 ものなのか、そういうことをきちっと見極めるような視力である。そのためには、 目下の 例えば目下の自分の関心とはさしあたって接点のないような思考や表現にも触れ " ることがだいじだ。自分のこれまでの関心にはなかった別の補助線を立てること 鍛える闘 鍛練 範もる闘竹範·簡城 で、より客観的な価値の遠近法を自分の中に組み込むことがだいじなのである。 1 121|思考の肺活量 6評論 ゆるがせにしない 息が詰まる …にあらがう 暖味 圏味覚一 ことか 哲学はこういう趨勢にあらがって、知性のそういう肺活量を鍛えるものである。 人は、思いどおりにならないもの、理由が分からないものに取り囲まれて、い らだちや焦り、不満や違和感で息が詰まりそうになると、その懲ぎを突破するた一 めに、自分が置かれている状況を分かりやすい論理にくるんでしまおうとする。 その論理に立て篭もろうとする。分からないものを分からないまま放置している ことに耐えられないからだ。だから、分かりやすい物語にすぐに飛び付く。 だが、本当にだいじなことは、ある事態に直面して、これは絶対手放してはな らないものなのか、なくてもよいものなのか、あるいは絶対にあってはいけない一 ただ今/現在
思考の肺活量 田 人が哲学に焦がれるのは、今の自分の道具立てでは自分が今直面している問題 がうまく解けない時である。何かこれまでとは違う問い方をしなければ、それも もっと包括的な問いの中に座を移さないと、らちが明かないと感じる時である。 Oレーヴィット Karl そのために、哲学の書き物を手引きに、レーヴィットも言うように「全てのもの Lòwith ドィッの哲」 を取って押さえて質問し、懐疑し、探究」しようとする。けれどもごのような思 学者。 [一八九七ー一九七三) には、言ってみれば入きな肺活量が要る。百分にとってあたりまえのことに疑。 いを向け、他者の意見によって自らのそれを採みながら、ああでもない、こうで 「それ」とは、何を指一 4 もないと、あくまで論理的に問いを問い続けるそのプロセスを歩み抜くには、ちょ うど無呼吸のまま潜水をし続ける時のような肺活量が要るのである。あるいは、 H まま付き合う思考の体力と言い換えてもいいし、すぐには解消されない葛藤の前 でその葛藤にさらされ続ける耐性と言ってもいい。 というのも、個人生活にあっても社会生活にあっても、だいじなことほどすぐ」 には答えが出ないからである。いやそもそも答えの出ないことだってある。だか」 ら、人生の、あるいは社会の複雑な現実を前にして私たちが紡ぐべき思考という (S2) のは、分からないけれどもこれはだいじということを見いだし、そしてそのこと 本当の香えを推 全く異なる場面を例に取って考えてみたい。 中で成される。外交政策であれば、それぞれの思わくを測り、いくつかの可能性 " を想定して、それぞれに手を打つ。しかし、そうした対処自体が関係国の思わく」 を刺激し、事態はいっそう複雑になってくる。国内政策であれば、さしあたって 焦がれる園 焦燥·焦る 包括圏 自活 不可欠の政策AとBがあるとして」例えば景気刺激と構造改革という、相反す一 る政策||、いずれを先にするかでAとBのそれぞれの政策としての有効性は大一 葛藤 園 葛湯 紡ぐ園紡績一 自体 団 事態 きく変じる。政策が置かれる状況自体が大きく変化してしまうからである。だか " |17思考の肺活量 「思わくを測」るとは、 どういうことか。 普水 園潜る,潜む一 6評論2|116 手を打つ らちが明かない に、分からないまま正確に対処することだと言ってもいい。このことを、三つの まず、政治的な思考について。政治的な判断は極めて流動的で不確定な状況の一

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