現代文
高校生
解決済み

問2 で④を選んでしまったのですが、②が答えでした。
④が×の理由を教えてください🙇‍♀️

し 。 の女 人 演習12 目標時間9分 チェーザレ、パヴェーゼの日記には「何月何日のところに……ということを追加」あるいは「何月何日に書いたこと からは……という結論になる」といった記述がしばしば登場してくる。しかも追加される内容は、当日は記さずにあと になって思い出した出来事ではなく、きわめて抽象的な思念である。ただひたすら自分の日記に読みふけっている作者 の孤独な姿がありありと浮かんでくるようだ。日記(いちいち断るのはわずらわしいので、ただ日記とだけしておくけ れども、journal intime 正しくは個人がその内面を書き記した日記)をつけること自体、あるいはそれを公刊さえする ことを、近代精神の《病》と呼んだポール·ブルジェであれば、病はここで極頂にまで達したと評したかもしれない だが、いかに病気と呼ばれようとも、ある種の人びとにとって、日記はただ毎日つけるだけでは十分ではない。それを 繰り返し読み、かつ意見を追加してゆかなければいけないのだ。再読と記述の追加とは、日記を書くという行為の何か 本質的な部分につながっている。 G G Sというのも、ここでは日記を一つの保存装置、とりわけ《自己》を保存する容器と考えたいのだが、何であれ、また 何のためであれ、保存するということは、その保存したものを将来いつか取り出してくるのを前提としているはずだか らである。今日つくったジャムをいつかは食べるなどとはまったく考えもしないで、瓶に密封するひとがいるだろうか もっとも、時がたつにつれて、保存したことそのものを忘れてしまう場合はあるけれども -われわれの多くの日記の つけ方はこれにあてはまるだろう。しかしパヴェーゼは、けっして忘れることなく、ときどき瓶のふたを開いてはジャ ムを少しずつなめるような具合に、自分の日記を読みかえし、そのうえ新たな味つけまでしているのだ。つまり保 存という作業の基本を忠実に守っているわけである。 だがそれにしても、保存するものがジャムであるのと自己であるのとでは、保存の姿勢がずいぶんと変わってくる。ジャ ムの保存は、密封した瓶をあけて内容物を消費しつくした時点でその目的は達成され完結する。他方で日記の再読にあっ ては、保存の対象はある種のかたちで消費されるとはいえ、しかし減少することはけっしてなく、逆に、記述の追加を 通してたえず自己増殖をつづけてゆくだろう。このちがいは小さくない。保存したものが自己増殖するという点で、日 記を書くということは、むしろ蓄財やあるいは切手、昆虫などの収集に似ているかもしれない。日記に記された内面と 同様に、資本もまた自己増殖をつづけるー 少なくとも最初からそれが消滅することは願われていない||のであり しかもそのことを確認するために、資本家はたえず帳簿に目を通さなくてはならない。切手の収集家もまた、日毎ふえ
第3章◆類似 4 3 てゆく収集品を前にしてほくそえみ、逆に、せっかく集めたものがたった一つでもなくなればひどく嘆き!、 古代以来の日記文学の伝統のあるわが国は措くとしてヨーロッパにおいては、日記の発達は商人のつける会計簿に一 つの起源があるようだ。言いかえれば、自己の内面を日記に綴るということは、自己を一種の財と見なして蓄積するこ とであり、それは「方で資本主義、他方で個人主義という、ともに近代ヨーロッパの根幹をなすとも言うべき考え方の 成長をまってはじめて現実のものとなった。収集がただの趣味以上のものとして広く行われるようになるのも、おそら くはブルジョワ社会においてのことであって、『ここでも同じ原理が作動しているはずである。 (富永茂樹「都市の憂畿」) 問1 傍線部A「保存という作業の基本」とあるが、日記という作業の基本は何か。最適なものを問題文から一○字以 [第1章の復習問題] 内で抜き出しなさい。 問2 傍線部B「ここでも同じ原理が作動している」とあるが、何について、どのような「原理」が「作動」している のか。最適なものを一つ選びなさい。 近代ヨーロッパにおいて蓄財の精神が働いているのと同じように、ブルジョワ社会においても、財の蓄積を尊ぶ (本主義の原理が働いているということ。 自己の内面を日記に綴る営みの背景に資本主義と個人主義の成長という原理が見られるように、趣味の域を超え た収集活動の広がりにもそのような背景があるということ。 収集はただの趣味以上のものであるが、収集活動と趣味活動の双方に、ブルジョワ社会を支える資本主義と個人 主義の原理が働いているということ。 資本主義と個人主義という二つの原理が近代ヨーロッパの基本的な精神を形成したように、その二つの原理が同 じょうにブルジョワ社会を形成したということ。 日記の発達の起源に財の蓄積という商業活動の原理があったように、収集活動が趣味以上のものとなっていくの も商業活動のためであるということ。
現代文読解基礎ドリル

回答

✨ ベストアンサー ✨

設問は『何について、どのような「原理」が「作動」しているのか』と聞いているので、答えるべき情報の根幹は「何について」「どのような原理」の二つになります。

まず「何について」に関しては、傍線B「ここ」が指す直前の内容「ブルジョワ社会になってから収集が趣味以上のものとして(資本主義や個人主義の成長として)行われていた」事についてです。
次に「どのような原理」については、傍線B「同じ原理」が指す内容「商人の日記は近代ヨーロッパの根幹をなす考え方の前段階(雛形)だったという原理」つまり「日記もブルジョワ社会も、資本主義と個人主義の前段階(雛形)であるという原理」になります。

④は「どのような原理」の内容を「資本主義と個人主義の原理」と捉えてしまっているので不適切となります。

はる

詳しい解説ありがとうございました!

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