現代文
高校生
川上弘美さんの「境目」という文章について質問があります。
1️⃣第三段落に「季節の境目をあそこでもない、ここでもないと引きたくなる。」とありますが、それはなぜですか? 2️⃣「日々がへんぺいに続いているのではないことを知りたくなる」とありますが、それはなぜですか?
3️⃣「境目を引く行為は非常に困難なものを呼び寄せる可能性を持つ行為である」とありますが、それはなぜですか?
4️⃣この文章の第五段落の部分で、テストに出やすい所ってありますか??
どなたか、境目のテストを受けたあらかたでも、わかる方教えていただきたいです。
お願いします。
書き込みがあってすみません💦
弘
達にとって市と市に空
<視点>経験をもとに、
間的に大きく隔てられせる。その時、どのよ1
るという考えが無意な問いが見えてくるの
かわかみひろみ
境目
連する事柄を集め、ひ
のことばでつなぎ合
にあるがその常識が
ろうか。
①走って、一分ほどのところに、境目がある。市と市の境目である。ときどき、境目の
あたりを踏んでみたりする。こちらからあちらに移ったと思う瞬間、妙な気分になる。 から
以前住 んでいた場所は、 三つの市の
右に踏
境目近くにあった。左に踏み出せば×市。
み出せば□市。ここにとどまれば○市。 子供の手を引いて境目に行き、境目から境目へ、
けんけんをしてみたことがある。×から□、□から○へ、○から×へ、それはもう自
在であった。痛快であった。しかしいっ。 人がつくった境目というものを、ひど
不可思議なものに感じたおぼえがある。
実際に具体的な違いがあるわけではなく簡単に越えられるのに
2人間どうしの境目、というものがある。目ははっきりと存在しているから。
破られる感覚があっ
けんけん 片足跳び
ごく幼いころ、外国に住んだことがあった。日本人はほとんどいない場所だった。ク
2もうこ
ラスの中で、蒙古系の人間はわたし一人。周囲は全員が西欧系である。
境目があるということを、ときどき知らされることがあった。
「ヒロミはチャイニーズだから(そのころ日本という国の知名度は低く、蒙古系の人間
イコールチャイニーズであった)。」と、言われるのである。
チャイニーズだから髪が真っ黒なのね。 チャイニーズだからサンドイッチの食べ方が
反対なのね。(耳から食べることをなぜか子供たちは「反対の食べ方」と言った。ほん
とにそうなんだろうか? だれかサンドイッチの食べ方について詳しい人、教えてくだ
さい。)チャイニーズだからおしっこもらしちゃうのね(わたしはおしっこもらしであ
アメリカ合衆国とカナダの国境となるナイアガラの滝にかかる
レインボーブリッジ。橋の中央が国境。
った。チャイニーズだからではないんだが)。
自分の姿は自分では見えないから、わたし
から見ればクラスはいちようである。ところ
がわたし以外から見れば、境目を持つ人間、
すなわちわたしが存在しているのである。
わたし一人のまわりに、ぐるりと境目が引
かれていた。わたしは、その中で、一人。奇
妙な感じだった。
10
人間だったから
和
2 蒙古系 人種の三
の一つ、モンゴロ
さす。日本人・中
どモンゴロイドロ
人々をおおまか
表現。「蒙古」=
ゴル(Mongol)
音写。
3 チャイニーズ 中
[英語] Chinese
4耳 食パンなどの
5 いちよう 一様。
こと。均一的。
6 金木犀 モクセイ
緑樹。十月ごろオ
色の小花をたくさ
特有の芳香を放つ
自分には見えない世界線が一方的
に引かれそれによって疎外される
季節の境目、というものもある。この
残暑がきびしい、と思っていると、そのう
さん
〈不可思議〉〈知名
きんもくせい
ちに秋刀魚が店に並ぶようになる。 金木犀が
〈残暑
にも感じたから自在〉〈痛快〉
匂い、オレンジ色のこまかな花が地面にぱらぱらひっきりなしに落ちはじめる。鰯雲が
空に浮かび、長袖一枚では足りなくなってくる。上着が、ほしくなる。 あれっと思って
8みぞれ
いると、霙まじりの雨が降ったりする。
季節がうつるということは、すなわちそれだけ死にちかづくということである。せつ
なくおそろしいことである。そして、せつなさが、おそろしさが、大きければ大きいほ
ど、自然のことごとを数え、季節の境目をあそこでもないここでもないと引きたくなる。
あ、今日秋がやってきた。 あ、今日はまた夏が戻ってきた。 あれあれ、知らない間に
いわしぐも
なんの変化もなく同じ
冬の匂いがする。冬の匂いは古い本を開いたときの匂いに似てるな。 ような日々が ただただ
境目をつくって、それぞれの季節を際立たせ、日々がへんぺいに続いているのではな
いことを、知りたくなる。知って、そして、それぞれの日々をいとおしみたくなる。
④境目とは、そもそも何なのだろう?
境目があるところには、区別がある。わたしたちはものを認識するために、区別とい
うことをするにちがいない。そこには、好きも嫌いもない。ただ、区別を行うために、
境目を設定する必要がある、というだけのことなのである。
もともと、認識のためにつくられた「境目」である。しかし、ときに境目というもの
がほんらいの目的から離れ、ものごとの「区別」だけでなく、「差別」や「暴力」を呼
び寄せることがある。くやしく悲しいことである。悲しくくやしいが、珍しいことでは
ない。ごくごく、ありふれたことである。世界の、どこにでも起こりうることである。
自分が「差別」や「暴力」にまったく関係ない、と知らんぷりすることは、とうていで
境目から生まれ3
きない。いつだって、自分がそのようなものに寄り添別」や「最もは、あるのだ。
ことにもなろう。
境目を引く行為は、非常に困難なものを呼び寄せる可能性を持つ行為である、という
がちかづく
10
境目を引く行為に自分の仲間と仲間以外のものと
区別する行為であり仲間以外の人間を差別したり
攻撃したりすることにつなが
夜と朝の境目
5 境目とは、かか。
呼び寄せる可能性を持つものだ
から、ときに、境目をつくらな
いようにしようという考えも、
きざす。外を見て境目をつくる
まいとするうちはまだいいのだ
が、内を見て境目をつくるまい
とすると、じきにそれは「みん
な一緒がいいね。」という方向 5
になってしまう。 保護色をまと
10
けんせきうん
鰯雲巻積雲の別名。
亡の雲の典型。 小さな白
●刃が空一面に群がり、角
というろこが列をなした
感に見える。うろこ雲、
雲羊雲とも呼ば
雪がとけかけ
じりに降るもの。山
9 ことごと この事
あれこれ。
「そのようなもの
何か。
〈認識〉〈保護色〉
*際立たせる
へんぺい
って隠れる昆虫のように、「みんなの中に隠れよう。」という気分になってくる。それは、
とても楽なことであろう。ただし、楽、必ずしも楽しからず。
2
外国で、チャイニーズと言われたとき、わたしは悲しかったろうか。そうではなかっ
た。ふーん、わたしは違うんだ、と思ったのだ。それはどうやらあんまり「いい」違い
方ではないらしいけど、でもまあいいか、と思ったのだ。わたしはわたしだもん。人に
とって「いい」ものではなくても、わたしにとってわたしは「いい」ものなんだもん。
七歳ほどの子供の、恐れを知らぬ「だもん」だったことだろう。しかし、いまでもわ
たしはそのときの「わたしにとってわたしはいいものなんだもん。」という気分を、忘
れない。その気分は、爽快この上ないものだった。
******
「わたしはわたしだ
「いい」もの
もん。」という文
他の文章とどのよ
なっているか、ま
ような効果を生ん
か。
わたしはあなたではなく、あなたは彼ではない。夏は春ではなく、秋は冬ではない。
それはなかなかに味のあることなのではないだろうか?
10
必ずしも~ず
味のある
『自分自身の個性を知て認め他者と違うことに
楽しみや喜びを見出すようなこと。
川上弘美 一九五八(昭和三三)年。小説家。東京都に生まれた。大学卒業後、一時期教職
あくたがわ
く。一九九四年 『神様』で文壇に登場した。 九六年、『蛇を踏む』で芥川賞受賞。この文章は
九九年刊行の『あるようなないような』に収められており、本文は同書によった。
主な著書「物語が、始まる』「いとしい』『センセイの鞄」など。
活
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