56 Ⅰ章 力と運動
発展例題 8
静止摩擦力
図のように,重さwの物体PとおもりQを軽い糸でつな
に回転する滑車に糸をかける。 物体PとおもりQが静止す
るためには,Qの重さはどのような範囲にあればよいか。
いで、水平とのなす角が0の斜面の上端にある, なめらか
ただし,Pと斜面との間の静止摩擦係数をμ(μ <tane)と
する。
指針 Qの重さが求める範囲の最大値 W1
のとき,Pはすべり上がる直前であり, 最小値
W2のとき,Pはすべりおりる直前である。
それぞれの状態において, Pは動こうとする向
きと逆向きに最大摩擦力を受けている。このこと
に注意して,各状態の力のつりあいの式を立てる。
解説 Pがすべり上がる直前, すべりおり
る直前のそれぞれにおいて, Qにはたらく力はつ
りあっており,Pが糸から受ける張力はそれぞれ
W1, W2 に等しい。 また, Pが受ける垂直抗力を
N, 最大摩擦力を F とすると,
Fo=μN=μwcoso
各状態でPが受ける力は図のようになる。 すべり
上がる直前の力のつりあいから,
W1 = wsino+μwcosa=w(sino+μcose)
NA
wsine
指針 AとBの間では, 動摩擦力がはたら
いている。Bが運動方向に受ける力は動摩擦力
μ'mg のみで、Bは右向きに加速しており, Aか
ら右向きに動摩擦力を受けている。
Bが受ける動摩擦力の反作用として、Aは左向
きに動摩擦力μ'maを受け
発展例題 9
重ねた物体の運動
水平な床の上に,質量 2mの物体Aを置き, A
の上に質量mの物体Bをのせる。 床とAとの間に
摩擦はなく, AとBとの間の動摩擦係数をμ'と
する。 Aをあるカfで右向きに引くと, AとBと
Fo
so
すべり上がる直前
A
解説
のように
れぞれの
wcose
w
A:2
f
P
B
S
wsine
発展問題 119
N.
A
w
すべりおりる直前の力のつりあいから,
μwcoso+W2=wsind
W2=w(sine-μcose) M
ここで, W2=wcose (tan0-μ) であり, 問題の条
件から, "<tan0 なので, W2 > 0 となり,題意を
満たしている。したがって, 重さWの範囲は,
w (sino-μ cose)≦W≦w(sino+μcos0 )
W2
Fo
wcos o
So
すべりおりる直前
の間ですべりが生じ, 別々に運動した。 重力加速度の大きさをgとして, AとBのそれ
ぞれの床に対する加速度の大きさを求めよ。
Q
発展問題 125
の力は、