03 愛知学院大改●
例題
4 細胞周期
細胞の増殖に関する次の文章を読み、 下の問いに答えよ。
細胞は分裂して増殖していくの細胞が分裂を終了してからの分裂が終わるまでを細胞周期という
細胞周期は、間期と分裂期(M期) に分かれており, 間期に細胞のもつDNAが複製され2倍になり
分裂期に入り分裂する。 間期はさらに, DNA合成準備期(G,期) DNA合成期(S期),分裂準備期
(G2期) に分けられる。 動物の組織を構成する細胞を解離し, 培養することができる。 培養された
胞は細胞周期を規則正しく繰り返し, 分裂していくことがわかっている。 図1はある動物の細胞を培
(放射線を出す元素で印をつけてある) を短期間加えたところ、全細胞の5%がM期の細胞で, 20%
養したときの培養時間と細胞数の変化を示したものである。 まな 細胞の培養中にDNAの前駆物質
の細胞が核に前駆物質を取り込んでいた。 また, DNAの前駆物質を加えてから10時間後にはじめて
M期の細胞で放射線が測定された。 図2は細胞分裂の過程における DNA量の変化を示したものであ
る。培養している細胞が細胞周期の各時期にランダムに存在していると仮定して,以下の問いに答
えよ。
40
第2編 実験計算問題対策
細胞数
8×10° -
4x10
2×10
1× 10°
24
48
72
96
時間
DNA量(相対値)
8時間
0
II
図2
目
III
IV
時間
図 1
⑤ 72時間
④ 36時間
問1 この細胞では細胞周期の長さは何時間か,最も適当なものを次の①~⑤のうちから一つ選べ。
20時間
24時間
30時間
IV
問2図2のI~IVの中で,細胞周期のG2期はどこに含まれるか、次の①~④のうちから一つ選べ。
3 III
① I
II
問3 この細胞ではM期にはどのくらいの時間がかかるか,最も適当なものを次の①~⑤のうちか
ら一つ選べ。
解説・・・・・・・・
問1 本間のように、体細胞分裂を
期にランダムに存在していると考
体で2倍になる。 図1のグラフで
4 × 10個になっているので細
胞の種類によってさまざまであ
はさらに, DNA合成準
備期(G,期) DNA合成
期(S期) 分裂準備期
(G2期) に分けられ,G
期ではS期でDNAを合
成する準備を行う。 S期
ではDNAを複製する。
G2期では,次の分裂期
の準備を行う。以下に細
胞周期 (図ア) と DNA量
問2 図イより G2期に
細胞周期の中
► Point
① 1時間
1.8時間
③ 2時間
④ 3.6時間
⑤ 4 時間
問4 この細胞ではG2期にはどのくらいの時間がかかるか,最も適当なものを次の①~⑤のうちか
ら一つ選べ。
4 時間
②② 4.8時間
③3 7.2時間
④8時間
⑤ 10時間
問5 この細胞ではS期にはどのくらいの時間がかかるか,最も適当なものを次の①~⑤のうちか
ら一つ選べ。
④ 17時間
①4時間
4.8時間 ③3 7.2時間
8時間 ⑤ 10時間
問6 この細胞ではG,期にはどのくらいの時間がかかるか,最も適当なものを次の①~ ⑤ のうちか
ら一つ選べ。
①7.2時間
③ 12時間
⑤ 18時間
問3 本文中に, 「培
ので,各時期の長さ
る時期の細胞が多く
「全細胞の5%」 とあ
問4 (G2期はS期
加えてから10時間
段階にあった細
である。 よって
問5 図2より
ある。 本文中
「期間加え」て
細胞である。
るので、各
となる。 正
問62期
て, 36 -
▶Point
解答
改
なり、
備期
また細
を培
物質
20%
めて
であ
に答
うか
うか
うか
うか
備期(G,期) DNA合成
期(S期), 分裂準備期
(G2期) に分けられ,G,
期ではS期でDNAを合
成する準備を行う。 S期
ではDNAを複製する。
G2期では,次の分裂期
の準備を行う。 以下に細
解説・
問1 本間のように, 体細胞分裂を繰り返している細胞集団では, それぞれの細胞が細胞周期の各時
期にランダムに存在していると考えられる。 培養している細胞すべてが一度分裂すると, 細胞数は全
体で2倍になる。 図1のグラフでは1×10個の細胞が36時間で2倍の2×10個 72時間で4倍の
4 × 10個になっているので、細胞周期の長さは36時間とわかる。 細胞周期の長さは生物の種類や細
胞の種類によってさまざまである。また、細胞周期は、間期と分裂期(M期) に分かれており、間期
はさらに, DNA合成準
◆ Point
前期
解答
分裂準備期
(G2期)
期期
問1④
分裂期
(M期)
[細胞
周期
DNA合成期
(S期)
再び分裂へ
図ア
胞周期 (図ア) と DNA量の変化 (図イ) を示す。
問2 図イより,G2期は図2のⅢに含まれている。 正解は ③。
DNA合成
準備期
/ (G1期)
問2③
細胞1個あたりのDNA量 (相対値)
4
問3②
第1章 生物と遺伝子
DNAの
「複製
| G1期 S期G2期 前期 中期 後期 終期
分裂期(M期)
図イ
41
10
~ (SS)
第
1
編
知識の確認
細胞周期の中でDNA量が増えるのは、DNAの複製を行うS期だけである。
問3 本文中に「培養している細胞が細胞周期の各時期にランダムに存在していると仮定」 とある
ので,各時期の長さ (時間) と観察される各時期の細胞数は比例する。 つまり、観察したときに、あ
る時期の細胞が多く観察できれば、その時期の長さ (時間)が長いということになる。 M期の細胞は
「全細胞の5%」 とあるので, 36 × 0.05 = 1.8時間となる。正解は②。
問4 G2期はS期を終えてからM期に入るまでにかかる時間である。本文中に「DNAの前駆物質を
加えてから10時間後にはじめてM期の細胞で放射線が測定された」とあり,これはS期の終わりの
段階にあった細胞がDNAの前駆物質を取り込んでM期に入るまでの時間, つまりG2期にかかる時間
である。 よって, G2期にかかる時間は10時間である。正解は⑤。
問5 図2より,体細胞分裂中にDNA量が増えるのはⅡIの時期だけであり, DNAを複製するS期で
ある。本文中にある, 「細胞の培養中にDNAの前駆物質 (放射線を出す元素で印をつけてある) を短
期間加えて, 「核に前駆物質を取り込んでいた」 20%の細胞とは, DNAの複製を行っているS期の
細胞である。本文中に, 「培養している細胞が, 細胞周期の各時期にランダムに存在している」とあ
るので,各時期の長さ (時間) と観察される各時期の細胞数は比例する。 よって, 36×0.2 = 7.2時間
となる。正解は③
問6G,期にかかる時間は,細胞周期の長さからM期, S期、G2期にかかる時間を引けばよい。よっ
て, 36 - (1.8 +7.2 + 10) = 17時間となる。正解は④。
▶Point
間期
第
2
編
実験・考察・計算問題対策
細胞周期の各時期の長さ (時間) は,観察された全細胞数に対する各時期の細胞数の割合に比例す
る。
問4⑤ 問5③ 問6 ④
P34
問い
2
3
ありがとうございます🙏